今、とあるベンチャー企業で働いているんだけど、あんまり会社に合っている気がしないんだよね……。
他の会社に行ければ良いなと思うんだけど、やっぱりベンチャー企業からだと厳しいのかな?
そんな方向け。
ついこの間、とあるヘッドハンターの方とお話する機会があったので、ここにまとめておこうと思います。ベンチャー企業勤務10年以上です。
この記事では、「今ベンチャー企業に所属している人が、別の会社に転職する時にどんな要素を抑えておけば良いか」という事についてお話します。
実際に転職活動をしてみた上での結論なので、これから転職したいと考えている方には利益がある内容だと思います。
ということで、こんな人が対象です。
- 今居るベンチャー企業の性格が、どうも自分には合わないようだ
- 転職したいけど、自分に価値があるのかどうか不安
- 転職したら給料上がるかな? でもなんとなく踏み出せない
それでは、本編に進みましょう。
Contents
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経験者が語る、ベンチャー企業から転職する時に考えておきたいこと
転職したくなる時って、現状の自分に何らかの不満足があって、それを変えたいがために転職を検討する、という事だと思うんです。
ということで早速結論からお話すると、以下の悩みが転職したらどれだけ解決されるのか、という話です。
- 給料の悩み
- 残業時間・ブラック労働の悩み
- 人間関係の悩み
会社の3大問題と言えば、ここしか無いというくらいだと思います。会社から人がやめる時ってほぼこれですよね。
だから、ここから逆算して考えるべきだと思うんですよ。
『隣の芝生は青く見える』で、ただなんとなーくキラキラとした、『理想の職場環境』といったイメージを持っていると、成功しない事が多いです。
なんてお話をするのは、転職を繰り返す私の友人たちが決まってそういった、具体的でない理想像(=今よりも良い環境ならどこでもいい)というものを追い求めていたからです。
楽しい会話の耐えない会社。ハードではないが、やりがいもある仕事。自分に必要なだけの給料(できるだけ多く)。
そんな、漠然としたイメージで転職を探している方に、私は言いたい。
目を覚ましましょう! 白馬の王子様はいません!
どの会社だって人間が運営しているわけで、集まった人達の性格によって一長一短ありますから。『自分の仕事のどこを改善する』という具体的なイメージが必要なんですよね。
それでは、順番に見ていきましょう。
ベンチャー企業から転職①:給料の悩み
ベンチャー企業って結構両極端に給料が高い低いで割れると思っているので、この悩みを持っているのは今、給料が低い・足りないと考えている方々ですよね。
『収入を増やすのは大変だが、支出を減らすのはすぐできる』なんて言いますけど、最低賃金ギリギリの所で頑張っている方からすれば、一人暮らしで生活するのなんて相当過酷な状況ですからね。
支出減らすのに食費しか切れなかったら、もうどうにもならないですから。
だから、『給料を増やしたい』というのは自然な流れだと思います。
では、『給料を上げる』という目的のために『転職』しようという訳なのですが、これから転職することを考えているとして、給料は上がるのか? ……と、ここが焦点ではないでしょうか。
もし、なんとなく『転職すれば今よりも給料は上がるだろう』と思っていたとするなら、ここは注意が必要です。
最低賃金クラスなら引き上げも考えられますが、そうでないなら作戦が必要です。
転職して給料を上げる手段は結論から言うと、下記の2つしかないです。
- 『スキル』で給料を上げる
- 『経験』で給料を上げる
逆に言うと、『スキル』『経験』の2つが仮に高かったとしても、現職ではその価値が伝わっておらず、給料が据え置きになっている、といった状況はありえます。
転職で給料を上げる事を期待するためには、この『社内・社外の認識ギャップ』を埋めていくというのが基本戦略です。
つまり、『ギャップ』がなければ、他社でも評価されない可能性が高いです。
ここが理解できていないと、なんとなく「他の職場ならもう少し給料も上がる『だろう』」といった認識になってしまい、給料どころか転職すらできない、という状態になってしまいかねません。
そして、『スキル』と『経験』には、2つの要素があります。
転職における『スキル』
結局のところ、スキルを上げる要素は『文章にできる知識』と『資格』、この2つです。
資格がなくても経験がある程度語れるのなら、転職で給料アップを期待できる可能性はもちろんありますが、そうでない場合は資格が重要です。
資格というのは、いわゆるスキルのボーダーラインです。もし最低賃金ギリギリの所で働いているとするなら、資格を取ることでより高い職種に就きやすいという事実はあります。
ただ、一定以上の給料を求める場合は、たとえばボードメンバーを目指す場合、より経営の根幹に近い経験を持っている方が有利だという側面があります。これは資格では語れないスキルですよね。
余程特別な資格でもない限り、資格だけで億万長者になるのは難しいでしょう。
稼いでいる人からすれば、「資格なんて取れる状況になっている時点で既に意味がない」なんて言われる事もありますが、稼いでいない人からすると取っておいた方が有利なのは間違いありません。
転職における『経験』
「前職では○○に携わっていました」なんて話をするための経験ですが、ベンチャー企業に所属している社員が転職すると想定した場合、以下のどの過程を任されていたのかで、ある程度の品定めをされることになります。
- 【初期】商品の企画=スタートアップ、マーケットの開拓
- 【中期】商品の機能拡張、マーケットの拡大(黒字化していると強い)
- 【後期】商品の効率化・手順化、もしくは業務サポート
実際に面談で出てきた話がほぼコレだったので、まず間違いないです。上に行くほど強く、揃っているほど強い。
つまり、何もない所からでも商品を発案し、開発し、市場に載せる事ができる人が最も強い。
商品がある所に機能拡張や進化の案を出し、顧客を開拓して流通を増やし、黒字化できる人間は次に強い。
ベンチャー企業に居ても、単なる開発・営業、サポートをしていたなど、取り立てて実績がない場合、これは『転職』という観点で見ると、弱い経験になります。
今600万以下の収入を貰っている人が、①と②の強い経験を持っていた場合。これは、転職で給料アップできる可能性は高いです。
逆にそうでない場合は転職に厳しい環境になるので、今の会社でやるか、そういった経験が積める所に転職することをまず考えた方が良いかもしれません。
ただ、この場合は転職すると給料が下がる可能性が高いです。
ベンチャー企業から転職②:残業時間・ブラック労働の悩み
これはもう、ベンチャー企業共通の悩みと言っても良いかもしれないですね。
結論から先に言うと、『効率化できる仕事なら残る』、『効率化できない仕事なら転職する』。これしかありません。
社員が『なんとなく残業』していたとしても、ベンチャー企業はみなし残業の事が多く、残業代が入らない可能性が高いです。
残業代が自分の利益にならない環境なら、人は進んで残業をしようとは思いません。
だからもし、自分の仕事を効率化して残業時間を減らす事ができるようなら、先に仕事を終わらせてですね。
「あんまり無理しないでくださいね」「私は残業しなくても会社が回る仕組みを作りたいんです」と声かけをしていけば、会社の空気が変わる事があります。
私は年単位で少しずつ声かけを続け、大体3~4年目くらいの時には、特別な場合を除いて残業をゼロにしました。
『社員数が少ない』『みなし労働時間制を導入している』という場合は、時と場合によってはこんな荒業も視野に入りますが、中々そうは行かない方も多いかと思います。
ここで転職を考える事になります。でも仮に転職するとして、「残業時間が多い・少ないを、どこで判断したら良いの?」ここですよね。
何しろ、入社前の面接で「残業時間はどれくらいですか?」と聞いても、多くのベンチャー企業は波があるので「うーん? 20~40時間くらいですかね」など、曖昧な答えになってしまうからです。
じゃあ、外側からどうやって残業時間の多い・少ないを予想したら良いのかという話なのですが、これはある程度判別する方法として、『メインの事業がフロー型かストック型か』というのを見る手があります。
フロービジネスとストックビジネス
『フロー型』というのは、つまり作業が対価になっている事業のことで、たとえば『派遣事業』や『受託システム開発事業』などが当たります。
継続的に仕事を受注し、それを各人に振り分けることで利益を得る。こうして、事業を回していくことです。
それに対して『ストック型』というのは、権利が対価になっている事業のことで、たとえば身近な所では、『Amazon prime会員』や『Youtube Premium』なんかがそうですね。
これ、すごく分かりやすいところで、『ストック型』の方が残業時間が少なくなります。
フロービジネスの場合、作業が対価になっている以上は作業をし続ける必要があるんですよね。つまりこれは、従業員の労働=利益です。
この構造である以上、従業員は過剰な労働を強いられるものであり、残業時間も必ず多くなってきます。
対して、作った商品・サービスに対して対価いくら、という仕組みで収益化している場合、顧客が増えても従業員の手間は(サポートなどを除いて)それほど増加しませんが、利益はどんどん増えていきます。
権利収入の方が、従業員の残業時間は少なくなる傾向にあるんです。
面接で残業時間をある程度、判断する方法
まず、どちらで事業が成り立っているのかはホームページ等で判断できます。もし複数の事業があった場合、トップページで大々的に宣伝している方がメインの事業です。
規模の大きなベンチャー企業(メガベンチャー)の場合はいくつもの事業に分かれている事があり、この場合はある程度配属先次第になるかと思います。
まずはこれを抑えておけば、大枠としては予想がつきますよね。
続いて、面接です。面接またはカジュアル面談などで残業時間を判断するためには、現場の人達に出てきてもらわなければなりません。
でも、我々が一般的に面接する相手は面接担当、つまり人事の人です。
人事と現場では意見がまるで違うという事があり、この状態では残業時間を判断することができません。
だから、転職前に現場の人と話しましょう。
もし自分が配属される予定の現場と事前に話す機会が設けられない場合は、こちらから願い出るようにしましょう。死活問題です。
別に100時間でも200時間でも残業して構わないという人なら良いのですが、多くの人は残業時間を望んでいませんよね。
『残業代が出る』という目的を除いて、進んで残業したがる人は居ないはずです。
身体を壊してしまっては元も子もないですから、可能な限り、現場の人から直接聞くようにしましょう。
聞く時も、「残業時間はどのくらいですか」という質問ではなく、「直近で最も残業したのは、どういった状況でしたか?」「その時の残業時間はどのくらいでしたか?」という質問にすると、よりリアルさが増します。
聞ける状況・聞けない状況、色々あるとは思いますが、可能であればおすすめです。
ベンチャー企業から転職③:人間関係の悩み
最後は人間関係です。最後でありながら、ここが一番多いという側面もあるのではないでしょうか。
パワハラ・モラハラ問題、よく話題になっていますよね。
色々な悩みがありますが、人間関係の問題だけは、転職する前から完全に把握しようとするのは難しいです。
そりゃそうですよね。人なんて、最終的には会ってみるまで分からない訳ですから。
しかし、最も対処しにくい問題でもありますよね。転職先で失敗してしまうと、次の転職はもっと厳しくなります。できれば失敗したくないという思い、とてもよく分かります。
では、どうするか。
もちろん100%安全とは言えませんが、会社の外から内側の人間関係をある程度予想する方法をご紹介します。
ところでコンビニって、人間関係のトラブルが多い場所だと思いませんか?
すごく言いにくい話ではあるのですが、事実上のポイントとして、『会社の規模が大きく、利益が出ているほど、その会社は良好な人間関係である可能性が高い』という側面があります。
これには2つの理由があります。
利益が出ている会社の方が、社員に余裕がある
1つめは、『利益が出ている会社の方が、社員に余裕があるから』です。
会社にお金がない時というのは、社員全体に余裕がない時です。
特にベンチャー企業からベンチャー企業へ転職する場合、今の会社の経済状況と転職先の経済状況は、ある程度予想しておいた方が良いでしょう。
多くのベンチャー企業というのは、『明日会社が潰れるかもしれない』という恐怖を抱えています。
資金が回らなければ。商品が売れなければ。何かスキャンダルが起きれば……。
そういった、神経ギリギリの所で戦っている戦士に、『他人を気遣え』というのは無理な相談なんですよ。
お金があれば仏のような人が、お金がないために鬼に変わる事があります。お金とは、そういうものです。
だから、転職先はできれば儲かっていた方が、人間関係的には良好である可能性が高いです。
利益が出ている会社には、優秀な人間が集まりやすい
2つ目は、『利益が出ている会社には、優秀な人間が集まりやすい』ということです。
たとえば、時給1,000円の皿洗いの仕事と、時給2,000円の皿洗いの仕事。ただし、2,000円の方は『皿洗いマスター』という資格が必要だとします。
もし『皿洗いマスター』の資格を持っていたとしたら、他に判断材料がなければ絶対時給2,000円の方にしますよね。
ということは、時給2,000円を出せる料理店には、『皿洗いマスター』という資格を少なくとも勉強して取れるだけの、教養と行動力のある人が集まってきます。
言っておきますが、これは別に、『給料が安いから人間として格が低い』という訳ではありません。
『高収入だから人としても優秀で当たり前』という事でもないです。
これは個人の話ではなく、確率の問題なんですよ。
ひとは、自分が集まれる場所に集まる
コンビニには、特別大きなお金を持っていなくても、誰でも買える商品が集まっているし、そこで働く人もまた、特別なスキルが必要ではない事が多いです。
これは、絞り込みができていない状態ですよね。特に誰でも構わず働くことができ、誰でも構わず『コンビニ』というサービスを受けることができる状態です。
これでは、誰と当たるかは全く分かりません。
利益の出ている会社では、積極的に優秀な人を採用しようとしています。資格があるとか、何かで成功した経験があるとかです。
そういった環境を生き抜いてきた人だけが採用され、そこには少なくとも、『ある1つの方向に向かって努力できる』『成果を掴み取った』人がいます。
自分から積極的に何かの行動を起こし、そうして成果を掴み取る人というのは、確実ではありませんが多くの場合、知識と教養のある人です。
失敗を人よりも多くしているので、確実ではありませんが多くの場合、人にも優しくすることができる可能性が高いです。
そして、そういった人は、コンビニには居ない可能性が高いです。なぜなら、他でも働くことができるからです。
ひとは、自分が集まれる場所に集まる、ということなんですよ。
ならば、『人間関係が良好ではない』と悩んでいるなら、今まさに、環境を変えるために努力する時かもしれません。
ベンチャー企業からの転職で、成功を掴むには
ここまで、『ベンチャー企業からの転職で気を付けたいこと』について見てきました。
私も一時期ヘッドハンターからお誘いを受けたので、転職について検討していた事がありましたが、結局は転職するのをやめました。
頑張って自分の手で黒字化してきた会社で、まだ社員には教えることが多い。
それを教えてから離れるのでも、遅くはないと思ったんですよね。人を教える事には、自分を成長させるキッカケが山のように詰まっていますから。
もし転職を考えるのであれば、そんな風に『自分の手で護りたい人』というのを増やしていくようにすると、最終的には幸せになる事が多いのかもしれません。
利益度外視でやってきたことが、最終的には自分の利益として返って来る。そういうものじゃないかなあ、と思います。
よい転職を!