※本記事はどちらかと言うと純文学より、ライトノベルが好きな人向けの記事です。
小説の書き方が書かれた本って、どんなのが良いんだろう?
これから小説を書いてみたいけれど、事前に知識が欲しいなー。
良い小説を書くためには、前提が必要だよな!
確かに勉強・インプットもすごく大事なんですけど、この発想は時に目的から逸脱してしまうおそれがあります。
このページでは、なんと『小説の書き方を学ぶ本』に『マンガ』を持ち込んでしまおうという事を紹介していきます。
※小説の書き方に関する本は読まなくても良いという事ではないです。
先に結論から言ってしまうと、まずはインプットよりもアウトプットの方が大事(特に小説にとっては)だと考えており、実際に書いてみる事を最も重要視しています。
勉強だけして、書く気が失せてしまった。そんな方のために、実践+マンガという形でまず構成を学ぶのはいかがでしょうか。と、そういった記事になっております。
これは断言できますが、きちんとした体裁の本で学ぶのは、一作書いてからでも遅くはありません。
アウトプットしながらインプットする、この感覚を小説にも取り入れて頂きたいのです。
Contents
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小説の書き方を本で学ぶ前に、マンガ+実践でまず書いてみるのがおすすめ
なぜ、実践+マンガなのか
小説は、書いて形になってこそ、初めて小説です。まず書いてみよう!
というのは、小説の書き方が書かれた本って、どれだけ分かりやすくても難しいんですよ。
ある程度、まとまった量の文章を書く方ならすぐにイメージできるかもしれませんが、「マンガしか読んだことないけどライトノベル書いてみよっ!」こんな方には、今すぐにはあまりおすすめできないと考えており。
そういったハードルの高い場所に手を伸ばした結果、「なるほど、よくわかった。……雰囲気は」となり、小説って結構、作るの大変で難しいんだな……。と思ってしまいがちです。
昔は私も「この本がおすすめだよ!」と言っていたのですが、読んで結局小説を書かないという現象が身内で続出したので、紹介するのをやめました。
インプットの魔力ですよ。散々調べて勉強して学習して、満足して結局書かない。あるいは、なんか難しそうだからやめてしまう。
これって同じことが様々な環境で起こります。
- 英語を話せるようになりたいから、まず本を読んでみて、なるほどね。で、練習しない
- プログラミングを勉強しよう! 思い立って本を読んで、ふむふむ。で、書かない
- 副業を始めよう! ブログの立ち上げ方を勉強して、よし! で、立ち上げない
せっかく意を決して取り組もうと思い立ったのに、これじゃあもったいない!
しかし、ある方法を使うと、そんな魔のルーティーンを抜け出す事ができます。それは……実際に書いていきつつ、教材にマンガを選ぶこと!
マンガだったら、みなさん好きですよね?
いや、嫌いだったらこの記事が成り立たないので仕方がないんですが。
お気に入りのマンガを開いて分析して、実際に紙に書き出してみる。そうすることで構造を学ぶと、自分の中に落とし込める確かな技術となり、「自分にも書けるかも……!」と思う。
と、そういう作戦です。
難しい本で構造を学ぶのは、もっと後にしましょう。
この作戦はコピーにならない事さえ気を付ければ有効であり、きちんと構造を学ぶことで引き出しが増え、書けるシチュエーションが多くなっていきます。
特に最近はライトノベルに勢いがあるという事もあり、小説よりもマンガに慣れているという方も増えてきました。なので、どちらかと言えば型にあまりこだわらない、ライトノベルに向いた戦略かなと思います。
まずは5〜10万字の小説を書いてみよう
とにかく始めは、文庫本一冊行くか行かないかくらいの短い話を、下手でもなんでも良いから書ききる事が大事です。
一度完成した文章があれば、次はもっと長い文章に挑戦できますし、次はもっと面白い小説にチャレンジできます。
比較対象が無ければ、自分の書いたものが良いかどうかも分からないです。自分の作品には大抵補正がかかるので、人の作品とは比べられません。
山のように書いてみた結果、気が付いたら面白くなっていた。そんな形が理想です。
なので、もうプロットなんて何でも良いですから、一冊書き切ってみましょう。文章作法なんて、初めのうちは良いですから。
時にはにっちもさっちも行かなくなって、「このままじゃ先に進めない……」そういう時が訪れるでしょう。
そこで初めてプロットの事を考えるようになる。行動するならば、それくらいの雑さが大事です。初めから細かい人なんてそう居ないんですから。
プロットで悩む時に、マンガの構造を分析しよう
そして、プロットの事を考えた時に、ふと思い立ってください。「私が大好きなあのマンガは、どうして面白いんだろう?」
この気付きが大事です。『なぜ?』ここを考えることで、そこから『面白い小説』への道が拓けます。
自分が面白いと思っている箇所は、だいたい大分類すると下の3つに分かれる事になります。
- ぐっとくるシーン。味のあるセリフ。物語の『プロット』に関わる部分
- 思わず笑っちゃう、共感するキャラクター。『登場人物』に関わる部分
- 独創的な発想、魅力的な舞台。『世界観』に関わる部分
この3つの要素のうち、どこが面白ければ自分が面白いと思うか? これが大事です。
自分の作品を好きになってくれる読者は、必ず自分とある程度、感性が似ている人をターゲットとするからです。
そもそも、ライトノベルが好きじゃない人はいくら面白いライトノベルを書いたって読んではくれませんよね。そういうことです。
コピーにならないための知識
自分が面白くしたいと思っている作品の要素(プロット、登場人物、世界観)に合ったものを選び、作品を読んでみましょう。そして、『なぜ』を考えます。
発見したら、自分なりの見解をもとに、それを自分の小説に組み込んでいくだけです。
この時注意して頂きたいのは、自分が読んでいるマンガの『個性』の部分を直接採用しないことです。
具体的に言うと、以下のようなものです。
このマンガは主人公がチートで、ヒロインが完璧美少女で、ライバルはクールなんだな。よし、じゃあうちの小説もそうしよう
このように、表層の部分だけを抜き取っていくと、その作品の劣化コピーになってしまいます。
「では、それだと何故面白いのか?」自分が出した答えに対して、まだこの質問ができてしまう場合は、掘り下げが未完成な場合が多いです。
このマンガは主人公がチートな部分が面白くて、でもそれは何故面白いのか……
それは、あまりにも主人公が周囲と比べて強すぎるから、回りのキャラクターに「えっ? そんなはずじゃ……」と思わせているからだ。
……ん? ということは、「えっ? そんなはずじゃ……」と思わせている部分が面白い、ということか?
上記の例のように、はじめは登場人物に魅力があると思っていたものが、よくよく考えてみるとプロットに関連するものだった、ということはザラにあります。
iPadは小説書きにとって最強のツール
最後に、小説の書き方を学習するためにマンガを採用するということであれば、私は圧倒的にiPad + 電子書籍をおすすめします。
なぜ電子書籍をおすすめするかといえば、以下のような理由があるからです。
- マンガは一冊あたりの話が短いので、冊数がかさばるから
- 気になった部分にしおりを挟んでおき、読み返すという事ができるから
- そもそもiPadが小説書きのツールとして優れているから
- 他のタブレットPCと違って高速で、500グラム前後しかないから
- ノートPCと違って電車で縦持ちにしてメモが取れるから
もうiPad一択です。iPadを買いましょう。それだけで小説の作業効率が鬼のように捗ります。
どこにでも入れて持ち歩けるというのが良いですね。電車の中で縦に持って使えるのも、タブレットPCならでは。そんなタブレットPCの中でも、iPadはかなり高速でストレスフリーです。
まだ持っていないという方は、ひとまずwifi版からでもいいですので、使ってみる事をおすすめします。
最近のiPad 10.2インチは4万円前後という、破格の安さですし!
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……さて、ここからは私が実際に読んだ上で、これは作品を作る時に役に立つだろうな、と思うマンガを書いていきます。
もしよろしければ、ぜひ読んでみてください。
※掲載上下に優劣はありません。
小説のプロットを書くために使えそうなおすすめマンガ
君の名は。
KADOKAWA (2016-08-23)
売り上げランキング: 86,237
あまりにも有名どころかもしれませんが、映画で観る以外にマンガで持っておくのも良いと思います。
プロットの作り込みが凄まじいです。無駄が一切無く、各シーンに必要な情報がすべて揃っていて、きちんと登場人物の心が動くようにできている。
プロのお手本のようなプロットです。自信を持っておすすめします。
聲の形
こちらもプロのお手本のようなプロット。『君の名は』に比べるといささかマンガらしいシーンが含まれますが、1回読んだだけでも相当に奥が深いのが分かります。
1巻がきつい、という感想をよく頂きましたが、後半ですべてさらっていくほど勢いが出るマンガなので、ぜひ一度、自分なりに分析して読んで頂きたい。
7巻は泣きます。いやほんとに。
そこをなんとか
白泉社 (2013-07-17)
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こちらは全編通したお話ではなく、オムニバスとして各回それぞれ違う事件に挑戦するという所から、短いお話に挑戦する場合にぜひ読んで頂きたいマンガです。
上記2つとは少し毛色が違うかも。
弁護士マンガなんて難しそう……と思いがちですが、ちゃんと説明が各所に入り、知識がなくても面白く読めるようになっています。
どんでん返しが各話とても丁寧に作られており、惹き込まれます。
スティーブズ
コルク (2018-02-16)
ノンフィクションだからと思うことなかれ、非常にすっきりとまとまったお話で、伝記としては道半ばで完結してしまうものの、テンポも深さもあって非常に面白いです。
元々のモデルとなっている人がただでさえ破天荒、ということがあるからか分かりませんが、休む暇なく次々に襲い掛かる問題・思考・解決。
ITが好きかどうかに関わらず、気がつくとのめり込んでいる。そんなマンガです。
青春のアフター
双葉社 (2015-10-01)
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他と比べると一般向け度はかなり下がりますが、この短さでこれだけの濃さを出している作品もそう多くはないと思いますので、ぜひ読んで頂きたい作品です。
どうやったらこんなに細かい話が作れるのかと思わず考えてしまうほどの密度の高さで、読者が気が付かなかったあんな場所こんな場所に伏線が散りばめられていたりと、完成度の高さが底知れません。
人間の暗さや厭らしさといった部分も多く含まれており、人を選ぶとは思いますが……ぜひ。
小説の登場人物を書くために参考になるおすすめマンガ
WORKING!!
スクウェア・エニックス (2014-12-05)
売り上げランキング: 110,902
「キャラクター」を考える時に、まず真っ先にこれだけは読んで欲しい。そう思えるマンガです。
各登場人物の味わい深さ、強い(強すぎる)こだわり、それを通して行われる飽きの来ない掛け合いなどなど。日常なので物語に起伏があるタイプではありませんが、素直に楽しいです。
アニメも非常によくできており。すごいなあ、と思うばかりです。
村井の恋
KADOKAWA (2018-12-15)
売り上げランキング: 29,001
一体なんだこれは……と思ってしまうほどの、あまりにも強烈すぎるワールド。次のページをめくるともうオチが付いてくる位のスピードの速さで、なんか最後まで読んじゃうキレの良さ。
登場人物全員すさまじい個性なので、圧倒されて自分の作品が似たような事になる危険性はありますが、それにしたってこれはすごい。主張がオーバーヒート気味なので、とにかくインパクトのある登場人物を読んでみたい方にどうぞ。
腹がよじれるほど笑いました。ありがとうございます。
弱虫ペダル
秋田書店 (2012-12-19)
売り上げランキング: 621
巻数は長いのですが、これだけ沢山いる登場人物のほぼ全てに個性があり、強い主張を作り出している所はもうすごいというか尊敬です。
スポーツマンガは全員が同じ競技を行うという関係上、登場人物の個性が全体的によく出るジャンルだと思いますが、その中でも印象に残るなと。
主人公が内向的なので最初不安になりましたが、読んでみると強烈なキャラクターです。
凪のお暇
主要な登場人物の主張の強さが、なんだかもう明後日の方向に行ってしまって、ずっとすれ違い続ける。そんなマンガです。
主人公は基本振り回される体質なのですが、それでも自分で人生をコントロールしようともがいています。結果、なんだか比率的にあんまりお暇できてないようにも思うんですが、強烈な個性のキャラクターが多いので仕方ない。
なんか共感してしまうんですよね……。
あそびあそばせ
白泉社 (2016-02-29)
売り上げランキング: 6,977
やたらと可愛い絵柄ですが、中身はまったく可愛くないです。詐欺です。
すべての作品を正攻法と裏の手の2種類に区分するとしたら、間違いなく裏の手の方。
出オチ・下ネタなんでもありの、あの手この手で笑わせてくるマンガで、従って登場人物が強いです。
面白い事が重要です! ずるさも学びましょう!
小説の世界観を書くために読んでおきたいおすすめマンガ
メイドインアビス
竹書房 (2014-06-19)
売り上げランキング: 271
世界観と考えた時に、真っ先に思い付いたのがこのマンガ。
知っている方も多いと思いますが、絵本のような絵柄で内容は深く、惹き込まれます。
見たことのない場所、出会った事もない生物に直面してサバイバルしていく主人公。その世界の奥深さだけでも、読んでみる価値があると思います。
世界観というと、ゲーム的なロジックを絡めて世界を作る作品が多い気がしますが、こちらはロジックを使わない方で、素直に世界観が素晴らしいです。
賭博黙示録カイジ
フクモトプロ/highstone, Inc. (2013-07-25)
こっちはロジックがあって面白い方。お話そのものが面白いというのも勿論ありますが、「もしかしたら世の中にありそうでなさそう」なキワドさがあるのが、かなり重要だと思っています。
ある意味では似たような厳しい状況にいる人も居るでしょうし。過激だけれども共感を呼ぶ世界になっているのは、そういうことかなと。
ゴブリンスレイヤー
スクウェア・エニックス (2016-09-13)
売り上げランキング: 2,253
ありきたりなファンタジーじゃない? なんでこれが世界観? そう思うなら、むしろこのマンガを読む価値があると思います。
この作品の最大のポイントは、いわゆる勇者と魔王の戦いから一歩離れた、『一般の冒険者』なるものにスポットを当てている所です。言葉を作るなら世界観ずらしとでも言いましょうか。
よくあるテーマだからといって世界観が陳腐になる訳ではないという想いをもとに、これを強くおすすめさせて頂きたい。
ラジエーションハウス
集英社 (2016-07-19)
売り上げランキング: 10,868
今度は限りなくリアルに寄った世界のお話。詳細を突き詰めていけば、ファンタジーによらずとも十分に魅力を持った世界に仕上がります。
この作品は物語も面白いし登場人物も魅力的だし、総合的に見ても面白い作品だと感じたので、自身を持っておすすめします。
登場人物にドラマを作れる舞台って、よく見ていくと色々な所にありますね。
世界で一番、俺が○○
講談社 (2016-11-22)
売り上げランキング: 81,916
ゲームが舞台のお話で、舞台そのものが登場人物の心境をエグる内容になっているという……すごい世界です。
もう最初に設定を提示された瞬間から「あ、これはズルズルいくやつだ」とある程度予想ができてしまうのですが、その予想を上回るストーリー展開になっています。マネーゲームは色々ありますが、このゲームはやりたくないですね。
主要な登場人物3人にもそれぞれ魅力があって、続きが楽しみです。
まとめ:知識を入れるのも大事だけど、行動するのはもっと大事
小説は、勉強することよりも書くことの方が大事です。
自分が思い描いている作品を最高に面白くするために、『小説の書き方』に言及した本が出ています。そもそも作っていないものを面白くする事はどの本にも不可能です。
自分が気に入った面白いマンガを武器に、まずは一作完成させてみようではありませんか。
それでは、今回はこんなところで。