小説を書いたは良いけれど、ちっとも読んでもらえない……。
何をしたら売れるのか分からない。
いつになったら、自分の名前は売れるんだ。
その悩みに、可能な限りのお力添えをしたい。
小説家にとって、小説とは商品です。要は、どのような商品を作り、どのように広めれば良いのか。それが最も重要なわけです。
私はあなたが書こうとしている小説がどんなものであるのか、知りようがありません。従ってこの記事では、誰でも売れる魔法の薬のような情報を授けられる訳ではありません。
この記事では、自分の小説を売りたいと考える人達のために、3つの重要な知識をお伝えしたいと思います。
『ブランド』、『市場への商品の普及』、そして『マーケット』のことです。
……と、こんな話をするからには、私の実績を話さねばなりません。
私は別段売れっ子小説家という訳ではありませんし、決死の思いで書いた小説が先方のやんごとなき事情により出版失敗してしまった身で、小説の世界ではまだ成功できていません。
しかし、人生にわたり400万字近い小説を公開し、その倍の文章量を裏で書くほど、小説が好きでして。
本業のITでは超赤字企業を5年で黒字化させるという事をやってきた(ブラック)企業戦士です。
いやもちろん、一人でやった訳では無いんですけれども。数名でやりました。
それはきっと、無駄ではないと思いたい。
つまり、会社を再生させた知識をそのまま小説に転用してしまおうという作戦なわけです。
既に知っている事なら申し訳ありませんが、もしよければ最後までお付き合いください。
Contents
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ベストセラー小説を書くために必要な『ブランド』を考察する
売れる小説とは、売れている小説のことです。
売れる小説家とは、売れている小説家のことです。
……と言うと身も蓋もないかもしれませんが、これは事実です。知名度のある企業の商品がよく売れるように、知名度のある作家の作品もまた、内容に関わらずとも、ある程度はよく売れる事が約束されているわけなのです。
つまり我々は、参入した時から市場敗者です。まずはそこを認識しなければなりません。
「そんな事言ったって、何が変わるんだよ」そう思うかもしれませんが、「では、どうする?」を考えるためには、まず定義を作らなければ考えられないのです。もう少しお付き合いください。
無名の小説家の小説は売れず、有名な小説家の小説は売れる。作家本人が持つ『ブランド力』というものが働くということを覚えておかなければなりません。
つまりそれは、どういうことか?
ブランドのない我々は、面白い小説を作ったからといって、広まらなければ売れないということです。
『もっと面白い小説を作れば、売れる』
この思い込みをまず、捨てましょう。面白い小説は売れません。売れる小説は、今売れている小説家から出ます。
世の中に出版されている小説の多くは、これまで『出版社に認められる』事によって、売れる仕組みを担保してきました。それは、『この出版社から出る』というブランドがあったからです。
『出版社から出ている』時点で、無名ではないのです。そこにブランドがある限り、小説はある程度売れる要素を持っています。
しかし、近年インターネットのあまりにも高速な普及とともに、この概念は崩れつつあります。
特に無名の個人でも、売れる要素を満たした小説が発見されれば普及され、世の中に広まるようになったのです。
事実、『小説家になろう』や『カクヨム』など、Webから始まった小説が実際に出版され、加速して多くの人々に届いています。
よく考えると、これはすごいチャンスだと思うんですよ。だからまだ諦めるタイミングではないかなと。
個人がブランドを作れる時代。そうすれば、別にどんな商品だって売れます。当然、小説だって売れるんですよ。ブランドさえ作れれば。
そんなわけで私はWebマーケティングを中心に始める事にしましたが、中には小説家であるからには、小説を書いて世の中に広めたい。小説以外の事はやりたくないといった方も、いると思います(ほとんどそうかもしれません)
というわけで、自分の書いた小説を爆発的に売るためにはどうしたら良いのか、ということを、2つの観点から書いていきたいと思います。
ベストセラー小説を生み出す『普及の法則』
『イノベーション普及学』というものがあります。
知らない方は、Simon sinekという方がTEDで話している『How great leaders inspire action』という動画を見てください。めちゃくちゃ分かりやすいです。
この記事でも解説をしていくと、購買層というものは大きく分けて、以下の5種類に分類されるということです。
ポイント
- 2.5%:イノベーター(革新者)
- 13.5%:アーリーアダプター(初期採用者)
- 34%:アーリーマジョリティ(前期追随者)
- 34%:レイトマジョリティ(後期追随者)
- 16%:ラガード(遅滞者)
このうち、最初の15〜18%の購買層(イノベーター+アーリーアダプター)を獲得することが最も大切だと言われており、ここに深い溝があるのです。『キャズム理論』と呼ばれます。
この溝を、どうやって埋めていくかを考えなければなりません。この約16%を埋められるかどうか、それが大事なんです。そして、これが小説をベストセラーに導くための指標であり、最大の障壁であり、高い目標となります。それはなぜか?
34%いる早期追随者がその作品を購入するのは、別の誰かが購入した後だからです。
これが、『イノベーション普及学』というものです。
何も考えず、『ただ良い作品を作ること』でこの15〜18%の購買層を獲得しようというのは、非常に難しいことです。どんな商品でも、最初の購買層に広く行き渡らせるためには、それにふさわしいニーズが必要になります。
どんなに面白くとも、顧客が求めている市場に求められている作品を提示しなければ、売れる事はないからです。
私の小説は、筋が通っていて世界観がすばらしく、登場人物も魅力的なものばかりで構成が美しく、文章がきれい。
それでは駄目です。それは購買層が求めているニーズではありません。本質的にはそうなんですが、それは早期購買層に購入させるには至らないのです。悲しいことですが、そうではないのです。
上記でも述べたとおり、最初に手に取られやすい小説というのは、ブランドがある小説だからです。「以前も購入したこのひとの作品だから」次を購入する事が最も多く、従って市場への挑戦者はいつも不利な戦いを強いられる事になっています。
そこには、銃と剣くらいの違いがあります。並の努力で越えられるものではありません。
では、どうすればいいのか? 策はあるのか?
策は、あります。
それは、『市場を絞る』ことです。
『ランチェスター戦略』から見るベストセラー小説の書き方
『ランチェスター戦略』というのは、第一次世界大戦の時にランチェスターというイギリスの人が生み出した戦略です。第一、第二の法則に分かれています。
これもざっくりお話すると、以下2つの法則に分かれるものです。
ポイント
- 第一の法則:一対一の近接戦闘ならば、数が多い方が勝つ。
- 第二の法則:広野での銃撃戦ならば、兵力は2乗した数になり、より優位性が明確。
どちらも兵が多い方が勝つのは同じですが、ここには意味があります。
誤解を招かぬよう第二の法則から説明しますと、こちらは兵力が2乗した数になるため、数が違えば違うほど、勝者の法則です。勝者の戦略と呼ばれます。
第一の法則は、純粋な騎馬戦を想定した場合で、こちらは弱者の戦略と呼ばれます。
なぜ、数が多い方が勝つのは変わりないのに、弱者の戦略と呼ばれるのでしょうか? ……それは、2つの法則を見比べてみると分かります。
普通に戦えば、数が多い方が勝ちます。ならば、被害は少ない方が良い。強者の方が頭数が多いので、強者はできるだけ、広野で障害物の少ない場所で戦いたいのです。
逆に弱者は、なるべく地の利を活かすなど、頭数だけで戦いが決まらない戦法を取りたい。障害物などで有利を取って、一対一の純粋な兵力で戦う事を期待したい。だから、弱者の戦略と呼ばれています。
これは企業の経営戦略などでもよく採用されるもので、マーケットシェアを取っていない、小さな企業が強い企業と戦うためには、よりマーケットを細分化し、ニッチな市場で戦わなければ勝機はない、という事に繋がっていきます。
兵力では敵わないのです。だから、少ない人数で戦う市場を選ぶべきなのです。
これは、小説の世界でも同じように捉えることが可能です。
売れる小説は、売れている小説家から出ていきます。ならば、純粋なマーケットシェアの勝負に持ち込んでしまったら、我々弱者に勝ち目はありません。
既に売れている小説と戦って勝つためには、マーケットを細分化し、よりニッチな市場を目指す必要があるのです。
ミステリー。ファンタジー。恋愛。様々なジャンルがありますが、こうした広い定義で最強を目指すことは、純粋な兵力同士の勝負になってしまい、ファンの少ない我々は不利になってしまいます。
そうではなく、何かひとつに特化するのです。鋭い剣のようになってこそ、初めて勝機が生まれます。
「あの人は○○の人だ」と覚えてもらえるようになることができれば、一発逆転の日は近いでしょう。
まとめ:ベストセラー小説を書く日は、そう遠くない(希望)。
さて、ここまでマーケット戦略を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
小説・出版といったジャンルからはある程度離れた知識だと思いますので、あまり聞き慣れない言葉も多かったのではないでしょうか?
ニッチな市場で15~18%の売れ行きを目指す作品を作る! という方向性であれば、目指す内容もある程度考える事ができそうですよね。
こうした知識を意識して作品を作ることで、売れる小説、ひいてはベストセラーを目指す事も可能になると思っております。
ひとつでも多くの面白い作品が、日の目を浴びますように!