小説でモノローグってどう書けばいいの?
なんか、あんまりピンと来ないんだよね。書き方があるのかな?
自分で書いても、なんだか違和感がすごい。
こういった疑問に答えます。
モノローグというのは、つまり心の声のことです。小説でも書かなければいけない時は沢山ありますよね。
マンガやドラマなら本人が喋っていなければモノローグになるので、表現方法は色々あるにしても、分かりにくくなることはありません。
でも、小説の場合は少し事情が違います。
文章で書くことになるので、他の地の文と混ざってしまうんですよね。
書き方は様々ですが、『なんだか変になってしまう』と悩んでいる方のヒントになればいいと思い、この記事を書きます。
私もWeb小説をこれまで公開してきて、モノローグはずっと書いてきました。
読者層の意識があって、一人称視点の小説を多く書いています。
今回は、文法上のモノローグの書き方と、実践的なモノローグの書き方。2つの視点でお話していきます。
それでは、さっそく本編に進みましょう。
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【小説の書き方】モノローグをどう表現すれば良いのかを解説する
まず先に結論からお話すると、モノローグを小説内で表現する方法は、以下のような手段があります。
- 地の文に直接書く
- ()(丸かっこ)を使う
- 〈〉(山かっこ)を使う
- ""(ダブルクォーテーション)を使う
- ――(ダッシュ)を使う
一人称視点の場合は、地の文がそのままモノローグのような形になるので、これらを意識することはほぼ無いです。
問題は、三人称視点で書く場合ですね。その時に、こういった表現を使います。
特にどう書いても問題がある訳ではないのですが、丸かっこが今のところ最も使われているので、ひとまずこれを使っておけば何かを言われることはないはずです。
モノローグとは
そもそもモノローグとは、英語で『独白』を意味する言葉で、つまりひとり言です。
元々は演劇や映画で使われていた言葉で、登場人物が誰かと会話することなく、心情や考えを述べるセリフの事を示していました。
英語では『monologue』と書きます。
『mono』というのは、ラテン語の『ひとつ』という言葉。『logue』は、『話』という意味です。
現代では小説やマンガなど、色々な作品の心情描写を表現する言葉として使われていますね。
モノローグはひとり言なので、登場人物の内面を描きたい時に利用します。
演劇では特定の相手との会話ではなくなるため、観客に向けてメッセージを届けるような形で使われている事が多いですね。
演劇用語としては、似たような言葉では『ソリロキー(soliloquy)』や『アサイド(aside)』があります。
ソリロキーというのは、特に聞き手が居ないのに感情がブワッとあふれ出すようなシーンをさす言葉として使われます。
モノローグよりも、より自問自答のような形です。
アサイドというのは、モノローグと違って複数の登場人物がいるにもかかわらず観客に向かって喋るという表現方法で、日本語では『傍白』という意味です。
一応、モノローグはひとり言という意味で使われるわけですが、対話・会話を意味する言葉には、『ダイアローグ(dialogue)』というものがあります。
一人称視点の小説では、ダイアローグよりもモノローグの方が大部分を占めることが多いですね。
少し気になって『地の文』の英語にあたる言葉も探してみたのですが、和英辞典で調べてみると、『Descriptive part』『Descriptive text』……うーん、いまいちしっくり来ませんね。
『Narration(ナレーション)』でしょうか。
モノローグの表現方法について
前述の通り、一人称視点の場合は地の文=主人公のモノローグになるので、何も困ることはないです。
地の文でそのまま、主人公の心の声を書けばいいですね。
「いやいや、他の登場人物のモノローグを書きたいんだよ」という事があるかもしれません。
これ、一人称視点では基本的に書けない内容になるので、表現方法は以下2つのどちらかになります。
- 主人公から見て、他キャラクターの心情が見えるようなシーンを用意する
- 一人称視点で語るキャラクターそのものを変える(視点移動)
1はトリッキーですが、うまく書けると話の全体が引き締まります。
2は簡単に使えますが、語り手の視点をひんぱんに変えるわけにはいかないので、ある程度まとまった文章で行う操作になります。
何度も視点移動が行われると、読者を混乱させてしまう可能性があるので注意しましょう。
対して、三人称視点の場合は地の文って説明や描写の文になりますから、モノローグを表現したい時に少し困りますよね。
この場合、もし三人称視点でも『主人公がいるよ!』という場合は、地の文に直接書いてしまう、という手段があります。
この場合、『三人称単一視点』として、三人称で書くんだけれども、まるで一人称であるかのような書き方をすることになります。
他には、前述の記号を使う方法ですね。
これは分かりやすいというメリットがあります。三人称では、わりとポピュラーな方法です。
ただし、三人称だから誰の目線でも書けるからといって、様々なキャラクターの心情が入り乱れるとよく分からない事になってしまうので、注意は必要です。
心情描写の登場って実はこのようにデリケートな問題で、読者を想定して誰の目線で追いかけてもらいたいのか、考えながら書く必要があります。
小説で変にならないようにモノローグを書く方法
さて、モノローグが何なのか、どう書けば良いのかについては何となくでもイメージができていれば嬉しいです。
ただ、これを踏まえても「なんとなく、上手に書けない」という問題が起きる方も居ますよね。
なんとなく、素人っぽい文章になってしまう。
どうも地の文とモノローグの切り替えがうまく行かない。
ここからは、そういった問題に直面した時、どうしたら良いのかについて解説していきます。
小説の文章は目線を意識する
まず、小説を書いていく上で、とてもとても重要な事があります。
それは、読者の目線を固定してあげることです。
どんなに秀逸なモノローグを入れても素人くささが抜けない原因のひとつがこれです。
視点があっちこっちに飛んでいってしまうと、読者からすると文章を楽しむどころではない状態になってしまう事があります。
小説を書き始めたばかりの頃は、どんなに気を付けていてもこれが起こる可能性があります。
念には念を入れて、自分が自分の小説について知らなかったとしても理解できる文章になっているか、何度でもチェックしましょう。
同様に、情景描写とモノローグの切り替えがうまく行かない原因も、読者の目線が意識されていない場合が多いです。
なんとなく「自分の文章下手っぽいな……」と感じたら、まずこれを疑ってみてください。
ちなみに、こういった心情描写を上手に書く方法については、以下の記事で詳しく書いているので、良かったら参考にしてみていただければなと。
参考小説における心情描写をなるべく上手に書く方法【1人語りとの違い】
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抽象度の高い言葉と低い言葉を使い分ける
日本人が古くから好む言い回しとして、『婉曲(えんきょく)表現』というものがあります。
婉曲表現(婉曲法とも)というのは、否定的な文章を直接的に書かず、多少オブラートに包むことで、相手に受け取りやすくなるという文章テクニックです。
ビジネスメールを取引先に送る場合などは、『無理』『不可能』『間に合わない』などの言葉は直接書かず、柔らかい言葉に置き換える事がありますよね。あんな感じです。
抽象度の低い言葉は分かりやすくて良いのですが、詩的な表現からは遠ざかる傾向にあります。
かといって、美しい言葉を目指して抽象度の高い言葉ばかりで埋めてしまうと、今度は何を言っているのか分からなくなってしまいます。
このことから、これら2つの要素はバランスがとても大事だということがわかります。
バランスの問題ということは、作者が何をよしとするかによって変わってくるので、ここでは正解が何かという事には触れません。
そもそも、読者が時代によって変わる以上、正解なんかないです。
ただ、最近はライトノベルが流行るようになって、比較的抽象度の低い言葉が好まれる傾向にあると感じています。
実際これは、抽象度の高い言葉を多く使った小説とあまり使っていない小説でテストしてみた経験があるので、そんなに的を外していないはず。
私の場合は、第二話のリピート率が天と地ほどに変わりました。
従って、今ではここぞという時にだけ、詩的な表現を使うように注意しています。
大事なのは、どちらか一方に寄ってもダメだということです。
どうしてもどちらかに寄るなら、せめて読者にとって分かりやすい方に寄りましょう。
モノローグは小説の出だしとして優秀か?
さて、今回は『モノローグ』という言葉の意味から、それをうまく使う方法まで通して触れました。
小説の書き出しはモノローグにすべきか会話にすべきか、なんてことを昔聞かれた事があったように思います。
そういう要素って、どちらが良いかは小説の内容によって変えていくものだと思うので、これについては回答はないかなあ、と私は思います。
ただ、魅力的なモノローグはやっぱり、読者の意識を大きく惹き付けることができます。
共感や驚きなどを使い工夫するなら、出だしをモノローグにする価値は十分にありますよ。
そんなに難しい言葉ではないですが、明日から自信を持って、モノローグを書いて行けるようになれば幸いです。