よーし、書いた小説を『小説家になろう』でアップしてみよう!
……それは良いんだけど、なろう独自のルールみたいなものってあるのかな?
あったら守るんだけど、一般的なものとは違うの?
そんな疑問に答えます。
『小説家になろう(以下なろう)』で小説を公開し始めて、早6年。過去には書籍化のお話も頂きました。これから小説を公開したい方に向けて、有益な情報をお届けします。
さて、PCを使って小説を書いたら、さっそく投稿してみたいのがWebの世界。最近はWebから賞の申し込みもできるようになったし、何かと便利ですよね。
でもそんな中、『異世界転生ものが流行っている』『悪役令嬢が流行っている』など、なろう独自の世界観に困惑してしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「これからなろうで小説を公開するぜ!」という方向けに、「こんな事を意識しておくと得だったよ」という内容を、限定して3つお伝えできればと思います。
どんな小説にも適用できるように意識して書いていきますので、『異世界転生』とか『悪役令嬢』とかは出てきません。
さっそく、本編に進んでまいりましょう。
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『小説家になろう』で小説を書く時に気をつけると得なこと3選
『小説家になろう』がと言うよりは、Web小説全般に言える事かもしれません。
紙の本とは明らかに違う部分がありまして、その中でも気を付けて頂きたい事を厳選してお伝えします。
今回紹介するのは、下記の3つです。
- 改行は多めに入れよう
- 1話あたりの投稿文字数は2,000~10,000くらいにしよう
- より多くの人が読める文章を使おう
これに気を付けるだけで、読者数が全く変わってきます。
これはもう、小説の内容は全く関係ないんですよね。でもここに気を付けないと、読者の伸びが全然違うんですよ。
何故そうなるのか、理由も混ぜてお話していければと思います。
それでは、早速本編に進んでまいりましょう。
1.改行は多めに入れよう
原稿用紙やWordなどで小説を書く時は、基本的に改行は必要な時にしか入れないですよね。
ところが、『なろう』ではこのブログのように、少し改行を多めに挟みます。
実際、現在公開されている小説を読んでみると、その多くが特定の単位で改行しているのが目に入るはずです。
これには2つの理由があります。
ひとつは、『Webには上下の表示容量限界がない』ということです。
たとえば本なら、文庫本ならざっくりA6(105mm × 148mm)におさまる長さで、あとはページ量次第で長い文章を表示させる事になります。
とは言っても、基本的にはあまり膨大なページ数を扱う事はできないので、活用できるスペースは限られています。
こういった『表示限界』を、Web媒体というものは持っていないんです。
文字数に合わせて上下の幅というのは自由に変更されるので、1ページあたりの文字数を好きなように決める事ができます。
もうひとつは、『詰まり過ぎた文章を多くのライトユーザーは好まない』ということです。
『Webという媒体の特性』と『読者層』故に、そうなっています。
『Webという媒体の特性』というのは、スマホのバックライトは紙の本と違って目に痛いので、同じ画面を常に凝視し続けるのが苦痛です。
従って、あまりディスプレイを見なくても読める、流し読みが主体になっているんですね。
これはWeb小説独自の問題で、たとえば同じ電子書籍でもKindle paperwhiteなどは、バックライトを搭載せず、ディスプレイ側に光を当てることで目の負担を軽減しています。
それがないWeb小説は、あまり画面をしっかり見なくても読めるよう、工夫する必要があるというわけです。
もうひとつ、『読者層』も大きく関係しています。
Web小説は文庫の小説と違って無料で読めるので、実に様々なユーザーがあなたの小説に触れます。
活字を読む人もいれば、あまり読まない人もいます。そして、『活字を読む人』よりも、『活字を読まない人』の方が多いんですよ。
『手軽に読める』ということは、この『活字を読まない人』の多くが参入してくる、という事になります。
だから、改行を多めに挟んで、読む人の抵抗感を無くす事が、より多くの人に小説を読ませる結果に繋がるわけです。
2.1話あたりの投稿文字数は2,000~10,000くらいにしよう
次に、Web小説における1話(1ページ)あたりの文章量は、2,000~10,000字の間にしましょう。
それより多くしても少なくしても、読者が付きにくくなります。
これも、先程の『読者層』に深く関わって来ます。
実際に、なろう小説を出版している会社の編集さんと会った事があります。
その人のお話によると、なろうでWeb小説を読んでいる読者層のほとんどは、男性で30代、女性で40代になるそうです。
これは統計を取った結果で、出版社はそもそもその年齢層をターゲットに本を出しているらしく。
男性の30代というと、その多くは会社員ですよね。
女性の40代というと、その多くは会社員か主婦で、子供が居る可能性もあります。
ここから分かることは、『なろうの年齢層は高め=あまり時間がない人が多い』ということになります。
ところで、日本人の平均『通勤時間』って、どの程度なんでしょうか?
総務省統計局の調査によると、全国の通勤時間平均は片道『39.5分』で、往復で1時間強の時間が通勤に使われているそうです。
参考:統計局ホームページ/平成28年社会生活基本調査 47都道府県ランキング
たとえばこの、『電車に乗っている時間』に1本読めるくらいの長さだと、社会人に読んでもらうには丁度良さそうですよね。
電車に乗っている時間の平均は、大体30~35分に収まると言われています。通勤時間の平均から考えると、そんなものでしょう。
読者層に会社員が多いということは、この『通勤電車』に1本読める、くらいの長さだと丁度いいんです。
そして、人間は1分に400字程度を音読することができます。乗車時間が30分あれば、12,000字読めます。
でも、乗車時間のすべてを小説に割ける訳ではないですよね。
だから、まあ大体2,000~10,000字の間にしとこうか、という事なのです。
実際書いてみると、2,000字だとボリュームが足りなくて不満、という声が多かったです。10,000字だと、読者の次ページ閲覧率がかなり下がりました。
今のところ、5,000~6,000字程度が最も安定して読んでもらえるので、私はそうしています。
3.より多くの人が読める文章を使おう
最後に、文章についてです。
小説を多く読む人の立場からすると、色々な表現が多く登場する、濃厚で華がある文章に心を惹かれる事があると思います。
実際、よくできた小説は文章のひとつひとつが弾むようで、文字を読んでいるだけで楽しい気分になることがあります。
しかし、残念ながらWeb小説では、『難しい表現』は避けた方が無難です。
これは、先程までの『読者層』に起因しています。これも2つの理由があります。
まず1つは、Web小説は様々な人が読むので、特に表現のために難しい漢字や言い回しが含められていると、読めずに去ってしまう可能性があります。
そしてもう1つは、読者層は会社員が中心で、『流し読みをする』というWeb媒体の特徴も合わさって、重厚な表現をしっかり読んでくれる読者が少ないです。
残念ながら、難しい漢字や表現を多用した小説は、Webの世界では『読みづらい』と感じられる事が多いように思います。
実際、心行くままに書いた複雑な伏線の散りばめられた長編小説は読まれず、台詞だけを追い掛けていても中身が読めて楽しめる、ラフなタッチの長編小説は次ページへのアクセスが良かったという結果があります。
これは私が2013年~2016年までの3年間で様々な小説を書き、試した結果ではあるのですが、おそらく多くの人に当てはまるはずです。
それだけ、『簡単な文章』『読みやすい文章』の方が重要視されるという事でしょう。
もちろん、読者の全員がそうだという話ではありませんよ。全体で見ると、読みやすい文章を手に取る方の方が多いというだけです。
「いや、私は読んでもらえる人にだけ読んでもらえればいいんだ」という方にはあえておすすめはしませんが、より多くの人に読んでもらいたい! と思うのであれば、ぜひ。
『小説家になろう』は、カオスだ。
私は5~6年程度、なろうでいくつもの長編小説を書いてきました。
そこで分かったことは、今まで自分が良いと思っていたものが軒並み否定され、自分が軽視していたものが重要視されるという、大きな誤解でした。
私は古い舞台脚本から入ったからか、身分や立場上の大きな障害や、叶わない想いを抱えた悲劇にとてものめり込んでいたので、当初はまるでアクセスが付きませんでした。
『通勤時間、片道たった15分でも読ませる小説』のなんと大切なことか。
気を抜いた笑いやテンポのある文章が、どれだけ重要か。
そんな事を深く考えました。
ここにあるセオリーは、私がWeb小説を書いていく上で経験した事の一部です。皆さんの役に立つ事を願っています。
それでは、今回はこんなところで。