プロットって何……? 何をどう書いたらいいの?
初めてプロットに触れる書き手の方からは、そんな声が聞こえてきそうですね。私もそうでした。
最初は右も左も分からず、1つの物語のプロットを立てるのに2年も掛かってしまったり……それでも出来上がった作品は酷評の嵐。失敗と挫折の毎日でした。
それでも書き続け、400万字近くをWebに公開してきた今、プロットについて語れる事はそれなりに多いです。
小説は、文頭から結末までを一貫してきちんと設計し、考えて書くことで面白くなります。それは間違いないです。
そこでこの記事では、小説のプロットに必要な考え方から、PCでプロットを書く場合の具体的な方法までを解説したいと思います。
読み終える頃には、プロットの立て方をはっきりとイメージできる。そんな状態を目指してまいります。
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小説のプロットとは
プロットとは、簡単に言うのであれば、小説の設計図です。
物語の始まりから終わりまでをまとめ、実際に小説を読まずとも、どのような話なのかが分かる。そんなもののことです。
一番最初にお話するべきは、『そもそもプロットを書くべきかどうか?』という議論についてでしょう。
こういったお話が出てくるのは、設計図そのものが本文となる訳ではないので、なんだか二度手間に感じられるからではないかと思います。実際、作った小説のプロットって、どこにも公開されないですから。
プロットは立てない。その方が面白くなる。そういったお話も、たびたび目にします。プロットは立てた方が良いと言われているのに、何故こういった問題が起こるのでしょうか?
プロットを立てた方が良いのか、という問いへの結論。
「私はプロットなんてなくても書けるし、むしろ無いほうがうまく書けるので、プロットは立てません!」という方も多くいらっしゃいます。それはそれで良いと、私は考えております。
ただですね。プロットを立てる、その技術の部分だけは、覚えておく価値はあると。私はそう思います。
プロットを立てたら、小説が面白くなくなった!
実際、そういう側面はあります。それは何故か?
大部分はプロットを書く時に、一体どこにフォーカスしてプロットを書いたら良いのかを知らないからです。
これは断言できるのですが、書き方の分かっていないプロットは、逆に小説本体の邪魔をします。
たとえばこれが建築の話だとして、家を建てるとしましょう。
プロットを立てずに小説を書くということは、つまり「このへんまでが多分部屋の広さで、ここが玄関になるから、まず玄関扉から作ろうぜ!」っていう方法です。
勿論、これで家を建てるのは至難の業です。
「扉の広さが1m……えっ? そもそも横幅が1mしかないのに?」といったような、根本的な問題がいともたやすく発生します。
しかし、闇雲に書けば良いのかというとそうではなく。
書き方の分かっていないプロットを前にするということは、「部屋の縦の広さは15m。横の広さは2cmで、中に100人の人が住み、屋根は藁で壁はコンクリート」と言われているようなものです。
……むしろ、こんな設計図なら無いほうが遥かにマシですよね。
少々大袈裟かもしれませんが、こういうことなんです。
プロットが無くても書けるよ! という方は、自分が作ろうとしているものを細部、隅々に至るまで細やかにイメージできる才のある人か、プロットの書き方を知らない人、ということになります。
同様に、途中でプロットを壊しても良いよ! という意見は、プロットを踏まえてその構造を壊さずに、より良いアイデアを直接文章に取り入れる事ができる人か、プロットの書き方を知らない人、ということになります。
もし前者だったとしても! プロットを作る知識を持つことに、意味はあるはずです。よりイメージが具体的になるでしょうし、持っておいて損はないと思います。
それでは、プロットについて説明してまいりましょう。
小説プロットの考え方
ここでは、プロットを書き起こす時にどういった部分に気を付けていくべきか、という事をお話したいと思います。
まずはよくある勘違いについて、お話せねばなりますまい!
設定とプロットの違い
よーし、プロットを書くぞ! ……できた!
世界観! 登場人物! パーソナルヒストリー! 舞台裏豆知識に、詳細設定表!
……いや、勿論あって良いんです。あっても良いんですが、ひとまずそれらは置いておきましょう。これは設定であって、プロットではありません。
プロットを書く時には、あくまで『物語がどういった変化を起こしていくか』という部分にフォーカスしていきます。
上記の要素というのはすべて、現在起こっている出来事ではないものですよね。だから、プロットではないんです。
より具体的に言えば、『物語の中にどういった課題があって、それがどのように解決していくのか』ということを書いていきます。
たとえば恋愛小説では、主人公とヒロインが結ばれるまでにどういった障害があるのか。
それを、どのように問題提起し、どう発展し、どう解決に向かっていくのか。
まずは箇条書きにして、列挙してみましょう。
- 主人公とヒロインが出会う。
- 主人公とヒロインが結ばれない理由が語られる。
- 主人公とヒロインが結ばれる。
1~3と番号を振りましたが、これが小説のプロットで言う所の『シーン』となります。
これがプロットの原型となっていきます。
プロットは、連続した『シーン』
上記で振った1~3の項目それぞれを、『シーン』と呼びます。
『シーン』とは、物語に変化が起こる部分を抜き出した、物語の中の単位のことです。
より細かい書き方をすると、『登場人物(その多くは主人公)の感情がAからBへと変化するまで』が1シーンとなります。
ミステリーやアクションなんかになると、中にはそうではないシーンもあったりするのですが……ほとんどの物語には(感情の変化に伴う)決断がついて回ります。なので、特に初心者の方ほど、こう考えておいて問題はないでしょう。
1シーンとは、登場人物の気持ちが変化する単位のことです!
どうプロットを立てると、小説が面白くなるのか
そこで、気持ちが変化するためには『どういう状態で』『どんなことがあって』という部分が、とても大切になります。
前の記事でも書きましたが、ポイントは『ヒストリー』と『トリガー』です。ここを押さえておく事で、登場人物の行動をプロットでコントロールできるようになり、物語が逸脱して明後日の方向に進みにくくなります。
小説を面白くする手段につきましては、『小説の書き方のコツ』コーナーで簡潔にまとめましたので、こちらをご覧ください。
参考【初心者向け】小説の書き方のコツをたった5千字で超簡潔に説明する
続きを見る
最も大切な部分として把握しておかなければならないことは、『各シーンにおける間延びした部分やつまらない部分をなくし、どのシーンでも盛り上がる展開を作る』といった点で、ここが揃うと急に物語の面白さが数段レベルアップします。
Web小説の場合はブラウザバックされる確率が下がり、より後半の部分を読んでもらえる事が多くなります(Web小説のアクセス数の大半は、第一話に集約されます。続きへの期待値がとても大事)。
そして、この『どのシーンでも面白い』現象を作り出すために、プロットが存在しています。
……プロットなしで全てのシーンを面白くするのは、言うまでもなくもう、とんでもなく難しいです。少なくとも私には無理。頭の中で囲碁打つみたいなモンです。
小説プロットの書き方
さて、実際に実例を混じえて、プロットの書き方についてご紹介できればと思います。
もしPCでプロットを書かれるという事であれば、私は個人的にマインドマップを使って小説を書くという事を、非常におすすめしております。
『xMind』というマインドマップツールがあるので、こちらをインストールしてみてください。正直、世界が変わります。
xMindのインストール方法で悩む事はないと思いますが(ダウンロードしてインストールするだけ)……要望があれば、どこかで気が向いたら記事にするかもしれません。
当記事では、xMindを使った小説プロットの書き方について説明していきます。
xMindを使った、小説プロットの作成方法
まずはxMindを開いて、ファイルタブから『新規(N)…』という部分を選択してください。
するとこのように、様々な形式のマップを選択することができるようになります。
小説のプロットでいうと、『マップ』は世界観や登場人物など、設定の部分をまとめるのに重宝します。実際のプロットは、『ツリー(右)』がとっても分かりやすくておすすめです。
ということで、ここでは『ツリー(右)』を選びます。
テーマは何でも良いので、ここではデフォルトを選んでいきます。『プロフェッショナル』を選び、『作成』をクリックします。
すると、下記の画像のような状態になります。
ついに、『中心トピック』が現れましたね。このトピックに幾つも配下を作って、プロットを管理しようというわけなのです。
『中心トピック』を好きなタイトルに設定して、タブキーを押すと、以下のように新たなトピックが中心トピックの配下に登場します。
ここでは、『なんか恋愛小説』としました。なんだかわかりませんが、きっと恋愛小説です。
『主トピック』の部分にシーンとして置いておきたいものを書き込んでいきます。
まずはシーンを想像して、いくつも並べていきましょう。Enterキーを押すと、主トピックがどんどん増えていきます。際限なく増やす事が可能です。
なお、Altキーを押しながら『↑↓』キーで、シーンの順序を簡単に変えることができます。
これが激しく便利です。とくに長編になればなるほど、シーンの順序が変わる事も増えていきます。入れ子の部分もまとめて順番が変わるので、コピーペーストの手間が全く必要ありません。
なお、タブキーを押すと、主トピックから更に一段下がった子トピックを作ることができます。
ヒロイン超かわいい。
マインドマップで小説プロットを書く場合のメリット
さて、普通のテキストでプロットを起こすのとどう違うの? ……という疑問を持つ方も多くいると思いますので、ここではメリットについて記述していきます。
マインドマップで小説プロットを書くメリットは、以下のようなものです。
- 上下が簡単に入替えられる(Alt + ↑↓キー)
- 大きなシーンから細かいシーンへ記述していくのが子トピックを使う事により簡単で、見た目も分かりやすい
- 『ここで重要なセリフ』や『ここがポイント』など、自由にトピックを増やせるので書きやすく、記憶に定着しやすい
- 自由にマークも付けられる
プロットを立てていくと、これがいかに機能として適しているのかを実感して頂けるのではないかと思います。
小説プロットはマインドマップです。圧倒的にツリー形式のマインドマップ。私の知る限り最強です。是非お試しあれ。
マインドマップで小説を書く場合のデメリット
これはあんまりないんですが、強いて言うなら以下のような部分です。
- テキストと比べて重い(深いプロットになるほど影響アリ)
- スマホで書く場合は逆に見づらい(画面が小さいので)
なので、環境に合わせたツールを使っていきましょう、という事ですね。
まあ個人的にはスマホで小説を書くというのは結構難儀なもので、どうしてもキーボードが使いたくなります。文章を記述していく速度に大きく違いが出てきます。
どうしても小説となると、1日5000~10000字くらいを書いていく訳で、これをフリック入力でやるのはどうしても難しいです。指1本と10本の差はかなり大きい。
ということで、私はPC+タブレット+xMindという手法をおすすめします。
おわりに
今回は小説プロットの書き方についてまとめさせて頂きました。
まずはプロットを書いてから小説を書いてみて、プロット通りに進まなくなってしまったら、どうして進まなかったのか? どういった視点が足りなかったのか?
こう考えることでプロット自体も進化し、小説も面白くなっていくように感じます。
最近は良いツールも沢山出ているので、うまく効率的に使って、より良い作品を生み出せるように努力してまいりましょう。
それでは、今回はこんなところで。