どうも、「お前の小説はテンポが悪い」なんて言われるのよね。
どうしてテンポが悪くなってしまうのかしら。
そもそも、テンポってどこから生まれるものなの?
自分の作風をあまり崩さない形で、テンポを良くする方法が知りたいわ。
演劇脚本から入り、小説を17年ほど書いています。今回は、こんな問題を解決したい。
『テンポ』って難しいですよね。言葉自体の理解が難しいですし、人から『テンポが悪い』と言われて、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
私も『テンポが悪いってつまり何?』という問いかけを読んでくれた人に繰り返していたのですが、色々な人から情報を集めることで、あるひとつの結論に達しました。
この記事では、なるべく皆さんの作風を変えない形で、テンポを良くする方法について説明します。
たとえば、自分で読んでみても何だかテンポが悪いと感じていて、でもその『テンポの悪さ』が具体的に説明できない。そんな方をターゲットにしています。
相変わらず、『実践的』を意識して、今日から使えるような情報にしますので、困っている方はぜひ読んでみてください。
それでは、さっそく本編に進みましょう。
Contents
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【小説の書き方】テンポはどこから生まれるのか説明する
さて、言葉の意味も中々難しい『テンポ』ですが、テンポというのは元々は、西洋音楽における一拍の長さ、つまり音楽の速さのことです。
小説もまた、『文章を奏でる』といった表現が使われる事もありますので、いつしか『テンポ』という言葉が一般的になったものだと、私は解釈しています。
そもそも、テンポとはどこから生まれるのか。
『テンポ』という言葉は、小説においてはとても抽象的ですよね。
まずは、この定義から入ろうと思います。
定義ですから、人によって異なる意見を持っている方は多いと思います。
私なりの解釈で書いていきますので、それをご理解頂いた上で、もう少しお付き合い頂ければなと。
テンポとは、読者にとっての『理想の速さ』
テンポとは何かについて、私の小説を読んで『テンポが悪い』と表現した友人たちに詳しく聞くことで、私はあるひとつの回答を得ました。
『テンポが悪い』というのは、読者にとっての小説を読むペースが、『理想の速さ』であると。
つまり読む上でストレスがなく、興味を持ち続ける事ができて、読むのが止まらないこと。
なので、この記事ではこれをメインに取り扱っていきます。
そもそもテンポって、言葉の本来の意味から考えると『速いか遅いか』であって、『良いか悪いか』ではないんですよね。
良い悪いというのは、読者個人の中だけにあるもの、言わば感想なんです。
結論、『テンポが悪い』というのは、読者が望んだ時に望んだ速さで小説が先に進んでいかないから、読むのが苦痛になってしまっている状態です。
これには、様々な理由があります。もちろん、作者と読者の相性もあるということになります。
テンポの速いロックバンドが好きな人もいるし、テンポの遅いクラシックが好きな人もいるということです。
「テンポが悪いってどういうことなの? 別の言葉で表現できるようにしたい」という、若き日のエジソンみたいな質問に気長に付き合ってくれた友人、ありがとう。あなたのおかげでこの記事が書けます。
その小説が読者によって理想的であり、意識しなくてもポンポン先を読むことができる。苦痛にならない。
それが、『テンポが良い』状態です。
読者によって変わる『テンポ』の原因
さて、ここでひとつ、問題が生じます。
それは、『テンポが良い・悪い』というのはあくまで、『読者目線なんだ』ということです。
読者が望む文章の量や、読者がよく知っている単語などが『テンポ』に関係することになってしまいますので、100%すべての読者に「テンポが良い」という感想を頂かせる事はできません。
極端な話、日本語をよく知らない外国の方にとって、日本の小説はすべからく『テンポが悪い』作品であり、スラスラと読むことなど不可能です。
では、テンポが良い状態は、どこから生まれるのでしょう?
テンポの良し悪しが、読者にとっての『理想の速さ』だとするなら、その要素は以下の3つです。
- 読者が文章を何度も読み直さず理解できる
- 辞書を引かないと理解できない漢字がない
- 次々に先を読みたくなる展開である
つまり、これらの要素から『テンポ』が生まれています。
実際これらを改善した今、私の小説は『テンポが悪い』と言われる事がほとんどなくなったので、試してみる価値はあると思います。
自分の小説の作風を変えず、テンポを良くする方法
さて、テンポを変えるために有効な方法としては、『テンポの良い話が書けるプロ作家をまねる』なんて方法がぱっと思いつきますが、今回はそういう方法は無しにします。
自分の作風を変えずに、テンポを良くする。
今回は、ここを大事にしたいのです。
同じように、テンポの悪さを改善するために、たとえば狂言回し的なポジションを加えたり、ギャグを追加したりというのもダメです。
こういったことは、あんまり本質的な解決になっていません。
どんな作品を書いていても通用する方法なら良いと思うんですよ。でも、作品を書くたびに悩むようだと、有効とは言えないですよね。
ということで、テンポの改善方法を3つの視点から書いていきます。
1.読者が文章を何度も読み直さず理解できる
これを達成する最も効果的な方法は、『一文の長さをできるだけ短くする』ということです。
文章というのは、ひとつの読点までの文字数が多ければ多いほど、一度で理解するのが大変になります。
たとえばこのように、一文あたりの文章量を限りなく多く、長くして、あえて読む人の理解を妨げるように作ることもでき、そうすると読者にとっては一文あたりで理解しなければならない情報量がとても多くなるので、結果として『かなり読みづらい文章』だというように扱われ、これらは『短く文章を区切る』ことや、『なるべく簡潔な文にする』という努力を伴うことで、解決することができます。
それを、このように『一文あたりを区切る』ことによって、ずっと見やすい文章にすることができます。
たとえばこのように、一文あたりの文章量を限りなく多く、長くします。
あえて読む人の理解を妨げるように作ることもできる、ということです。
そうすると、読者にとっては一文あたりで理解しなければならない情報量が、とても多くなります。
結果として、『かなり読みづらい文章』だというように扱われます。
これらは、『短く文章を区切る』ことや、『なるべく簡潔な文にする』という努力を伴うことで、解決することができます。
あえて同じ文を使ったので、少し読みづらい所もありますが、だいぶ改善されたのではないでしょうか。
これが、『一文の長さをできるだけ短くする』ということです。
なお、ブログの世界ではわりとポピュラーな方法で、『一文は50文字まで』なんて書いている方も多いです。
小説は娯楽なので、そこまで神経質にならなくても良いと私は思いますが……それでも、長い文章よりも短い文章の方が多くの人にとって読みやすいのは確かです。
2.辞書を引かないと理解できない漢字がない
これは、読む人の知識量にもよります。なので、必ずこうしてください、という事ではありません。
ただ、あまりにもマイナーな漢字、ビジネスメールでは開く方がポピュラーな漢字については、開いたほうが無難です。
文章というのは本来、『相手に情報を伝える』という意味でコミュニケーションの一種ですから、自分ができる範囲で、読む人の層に合わせます。
昔の人ほど難しい漢字を当たり前のように使っていましたし、読書家は辞書を引かずに読める事が多いので、こと小説でも難しい漢字を使った表現は沢山ありました。
でも、Webで小説が公開できるようになってからは、小説を読む人というのもずっと増えました。
それは普段あまり小説を読まない人、すなわち『ライトユーザー』を小説の世界に引き込んだ結果です。
『ライトノベル』という作風が流行っているように、世の中は段々と、『素人でも理解できる・作れる』『できるだけ理解の簡単な』ものを望むようになっています。
それはもはや小説だけではなくて、世界中のトレンドです。
こういった背景があるので、私は積極的に簡単な文章を使い、難しい漢字を極力排除して、できれば小学生高学年・中学生でも読める形で提供するように心がけています。
ただこれは、あまり極端にやりすぎると作風を変えてしまいますよね。だから、自分の望む範囲で改善するのをおすすめします。
重要なことは、『なんとなく難しい漢字を使い、読む層を限定する』のではなくて、『こういった背景を理解して、意図的にそれを使う』ことだと思います。
「なんとなくカッコいい文章」って一時期流行ったような気がするんですが、最近は許容されなくなってきています。
3.次々に先を読みたくなる展開である
文章、文字ときて、最後は展開です。
展開というのは小説の構成をさしていますから、プロットでどうにかしなければなりません。
でも、『先を読みたくなる展開』って、どうやって作るんでしょうか?
ひとつの回答として用意できるのは、『波を作ること』です。
先を読ませる力というのは、つまり『読者の興味を煽る力』であり、シンプルに人の興味を引く展開は『登りがあれば下りがあると想像させること』つまり、『波を作ること』となります。
最も簡単なのは、主人公に何らかの障害を作ることです。
困難を伴うような、難しい課題を用意すること。そうすると、主人公は悩みます。「どうやって解決できるのか」「そもそも方法はあるのか」「実践できるのか」……。
そういった迷いが主人公にあると、読者は思う訳です。「こんなに悩んでいる主人公は、どうやって問題を解決するんだろう?」
これで、問題が解決するまでは読者の意識を引きつける事ができます。
と、こう書くと、「いや、そんなの作品の1つで、中には波がない作品だってあるだろう」と思う方も居るのではないかと思います。
確かにそういった事もありますが、うんと細かい目で見ていくと、ほとんどの作品には『波がある』と考えると、自分が作る上では有利になります。
たとえば4コマ漫画でも、その4コマの中では波がありますよね。
自分が気に入っている作品が、どんな所で波を作っているのか知っておくと、自分の小説に活かす事ができるのでおすすめですよ。
すべての読者に『テンポが良い』と思わせる事は難しいのを忘れずに
今回は人によって定義の変わる言葉をテーマに扱ったので、少し難しくなってしまいました。申し訳ない。
ただ、『テンポが悪い』に関するひとつの解決策である事は間違いないので、もし悩まれているのであれば、ぜひ試してみてください。
もちろん、自分の作風を変えない範囲で。
どの道、すべての読者に納得して頂く事は難しいです。だから、ある程度は損切りの思考も必要ですね。
より広く受け入れられる場所を目指していくと、今度は『テンポが良い』と言われる事も多くなってくると思いますよ。