何年続けても、一向に芽が出る気がしない……。
一体どうしたら、売れる話が書けるんだ……。
長く作品を作り続けていると、終わりのない迷宮に迷い込んでしまい、気が付いたら身も心も疲弊している。そんな事、よくありますよね。
何しろ、モノを売りたい場合、『売れる』というのはセールスマンとしてのゴール、小説を売りたい作家にとって小説が売れるということは、小説家にとってのゴールなわけです。
私は小説書きとしては出版コケた身なのでアレですが、その時にプロの編集さんと会う機会があり、売れる作品についてのお話を少しだけ聞かせて頂きました。
また、本業が顧客と真っ向から対談するシステム屋なこともあり、いわゆるセールスマンの世界にも片足を突っ込んでいます。
この記事ではこういった経験から、『少なくともここだけは確実!』というポイントについて、3つの観点から挙げさせて頂きたいと思います。
モノを売るって、ある意味ビジネスにおける究極の分野です。何しろモノが売れなければ世界は回りません。作品を売るということは、その作品が世界を回すための一員となる、という事なんです。
そんな世界に対して、自分が記事を書くなんて恐れ多い……と昔から思っていたのですが、ひとつの意見としてあっても良いだろうと思い直し、意を決して、今こうして記事を公開するに至っております。
これを読んでいるあなたの作品が、一作でも多く世の中に出ますように。
Contents
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1.売れる小説は、『タイトル』が最重要
当たり前じゃん! と言われそうですが、言葉で書くと当たり前でも、いざ書くとなるとカンで決めてしまう人がとても多い項目だと思います。
ですが、『タイトル』こそ最重要項目です。その理由をお話します。
編集さんと話した時に、「本音の話、売れる作品とはどういったものだとお考えですか?」と聞いた事があります。
その時に返って来たことは、以下のようなものでした。
「本屋に行った時、私達はついつい平積みや面陳列されている本に目が向いてしまいますが、9割方の本は背表紙しか見えていないですよね。つまり、手に取られる本を作りたければ、タイトルを工夫するしかないんです」
※平積み……本を表紙が見える状態で、縦に積むこと
※面陳列……本を本棚に、表紙が見える状態で立てて置くこと
確かに、余程のヒット作でもない限り、平積みや面陳列されている本って、そう多くはないですよね。どちらかと言えば、売れ行きが良くなるほどそういった置き方でレベルアップしていきます。
ということは、売れる波を作りたければ、まず最初の『背表紙で見えていても売れる』状態を作るしかない。ここを突破しなければ、売れないという事ですね。
このお話を聞いた時、とても腑に落ちたというか、私の中で作品を作る際の優先順位がガラリと変わりました。
中身にばかり気を配っていても駄目ということです。分かりやすく、人の手に渡らなければ。
どんなに高級な毛布でも、高級感が目に見える形で分からなければ、手には取ってはもらえないのです。
それが、小説にとっては『タイトル』であると。ならば、タイトルを工夫しなければなりません。より手に取られやすいタイトルを考え、何度も試していく事が必要です。
Web小説では最近長文タイトルが流行っておりますが、それも時代の流れなのかもしれませんね。
どうやって『売れるタイトル』を作るか?
この辺りは、SEO対策の知識がとても本質的で価値が大きいと感じます。やっぱりGoogleは正義です。
具体的には、下記のような内容がSEO対策として謳われるものです。
- 前半に検索される『キーワード』を多く盛り込む
- 32文字以内にする
- タイトルから利益(ベネフィット)が分かる内容にする
- 意味の分かる文章にする
他にもありますが、ひとまず大切なものだけ。
どうでしょう。昨今の文章タイトル大流行は、こういった内容が網羅されているからだと思いませんか。
これを小説に応用すると、以下のようになります。
- なるべくタイトルの頭に読者ターゲットとなる『キーワード』を仕込む
- 可能な限り短い文字列にする
- タイトルから小説の趣旨が分かる内容にする
- 意味の分かる文章にする
しかし、これを実践すると実用重視で『個性のある、かっこいいタイトル』が付けにくいです。
2番目の項目もそうなのですが、オリジナリティとの戦いですなあ。
2.売れる小説は、『ジャンル』に乗る
上記の話の続きで、編集さんはこんな事も言っておりました。
「勿論、流行に乗る事は大事です。そのジャンルが売れているということは事実、人が沢山訪れているという事ですから。ただ、その流行ジャンルの中で本屋を見て回った時に、『おっ』と思われなければいけない」
なんだかいきなり商品販売戦略ですが、これってとても大きな事です。そして、とりわけ芸術の世界では、この法則は嫌われがちです。
何故なら、クリエイターは多くの場合、作品の世界で自分の個性を表現したいと考えるからです。唯一無二の作品であることに価値があると考えるからこそ、それが作品を作るモチベーションになっているのです。
ここには、とても大きな壁があると感じます。何しろ私も、100%波に乗る動きができるかと言えば、答えはノーだからです。
しかし売れている作品を見ると、自分の個性を表現するというよりは、読み手が求めているものを作るクリエイターの方がより売れているという結果になっています。勿論例外はありますが、ざっと見ただけでも違いは明白です。
ここには、『自分本位』で作品を書くのか、『相手本位』で作品を書くのかといった違いがあります。
だから私は趣味で良いとか、そういった決断はひとつあると思います。ただ、もし売りたいと思うのであれば、一度全てを捨てるつもりで流行りに合わせてみるというのはいかがでしょうか。
某有名ブロガーの方が、「売れるブログを作りたければ、書きたい事を書くな」と言っておりました。
何故なら、「自分が書きたい事って、その多くは相手が求めている事ではないから」だそうです。
売れるかどうかというのは、どれだけ買う人の事を考えられるかどうかに置き換えられます。
自分のためではなく、読んでくれる人のために小説を書きましょう。
どうやって『売れるジャンル』に乗るか?
流行に沿うと考えた時によくある勘違いですが、売れるジャンルに乗ろうとしてパクリになってしまっては全く意味がありませんので、少しひねる必要があります。
Webの場合は情報が常に公開されているので、トップランカーが占めている要素を分析し、それに続くものを出す、という戦略が手堅いです。
……でも私は2020年現在、この方法だけではよく似た劣化物ができるだけだという結論に達しております。
先発の作品を超えられないんですよね。
漫画『バクマン。』などでも分析型と天才型などと表現されましたが、競合分析だけで大きなヒットを出すことは難しく、最終的には、より顧客の体験を豊かにしたものが売れます。小説の世界でも、それは変わらないはずです。
私が次に試してみようと考えているのは、『同じジャンルの商品を、違う切り口で出す』といったもので、レッドオーシャンの中にブルーオーシャンを作り出す手法です。
※レッドオーシャン……競合の多い分野。相手が強く売れにくい。
※ブルーオーシャン……競合の少ない分野。ハマれば売れやすいがニーズに合わなければ収益ゼロ。
何か良い情報があれば、また公開します。
3.良い小説ができても売れるとは限らないが、売れるものは必ず良い小説だ
最後に、特別大事なマインドセットについて書いていこうと思います。
自分の作った作品が売れるかどうかというのは、最後の最後では必ず確率が絡むものであり、こうだという正解があるものではありません。
今日までの人間の歴史を振り返れば、世の中に出ても良かったはずの素晴らしい作品なんて、星の数ほど埋もれている事でしょう。
ですが、ただ一つ言えることは、『良いものができても売れるとは限らないが、売れるものは良いものだ』ということです。
売れるかどうかは、どうしても運が絡みます。しかし、そのチャンスを手に入れるためには、どうしても良いものを作らなければならないのです。
ここで言う良いものとは、自分にとってではなく、顧客にとっての良いものです。
昔、とある役者の方がこんな事を言っていました。
「どうせ役者として当たるかどうかなんて確率なんだから、できるだけ多く露出する機会を設けるしかない。演じることが上手いかどうかは関係ない」
私は、この意見には反対です。演じることが上手くなければ、どれだけ露出をしても誰かの目に留まる事はないと思います。
80点の作品が露出する事で機会を得られる事があっても、0点の作品に機会はないです。
こう言うと少し酷かもしれませんが、少しでも確率を上げるためには、頑張って良いものを書いていくしかないです。
もしかしたらゴールはすぐそばにあったかもしれないのに、途中で諦めてしまう。この現象の、なんと多いことでしょうか。
そう考えると、成功するために必要な唯一のことは、諦めないマインドセットなのかもしれません。
では、どうやって良い小説を書くか?
これを読めば必ず面白くなります! といったものはなく、体当たりで経験し、技術を磨いていくより方法はありません。
人によって知識にも歴史にも差がありますから、万人に通用する方法など基より作る事はできないのです。結局最後は、自分自身の道を切り拓く力です。
……ですが、そうは言っても始まりませんので、ささやかながら皆様のお力になれると思う知識を、このブログで発信していきます。
特に小説の書き方のコツなどに関しては、50~時には100万字を超える長編を5本以上書いてきた実績もあり、初心者の方に伝えられる事は多いと考えています。
参考【初心者向け】小説の書き方のコツをたった5千字で超簡潔に説明する
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何か、皆様の助けになればと願うばかりです。
諦めず、筆を折らず、頑張っていきましょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。