うーん。
小説を書いてみたいけど、話なんてすぐには思いつかないしなあ。
ちょっとくらいベタになってもいいから、簡単に書ける方法ってないのかな?
そんな要望に、ある程度答えてくれる考え方があります。三幕八場です。
舞台脚本から入り、Web小説歴は7年です。これから小説を書きたいという方のための記事を書いています。
ストーリーを考えるのは難しいですよね。私もまだプロットに慣れていないうちはそもそも発想の仕方が分からず、苦戦した覚えがあります。
小説を書く時、プロットを考えないという方は一定数います。私も昔はそっち派だったのですが、プロットの利便性が分かってからは、プロットなしには書けなくなりました。
この記事では、小説の展開の仕方が分からないという初心者の方向けに、簡単にテンプレートを使ってストーリーを作る手順を紹介します。
これを使いこなせるよう練習すれば、ある程度の物語には応用が効くようになるはずです。
さっそく、本編に進みましょう。
Contents
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小説の書き方、簡単に面白くできる定番テンプレートをご紹介!【三幕八場】
ハリウッド映画なんかも、話の作り方はある程度決まっていると言いますよね。
今回ご紹介するのは三幕八場構成といって、南カリフォルニア大学の映画芸術学部で教えている脚本の作り方です。
ある問題解決に向けての話を作ろう! としたとき、その問題をいくつかの段階に分けて作っていくというものです。
具体的には、以下のように物語を分割します。
第1幕:問題提起
- 1場:物語の始まり
- 2場:主人公が目的を持つ
第2幕:挑戦と挫折
- 第3場:最初の課題
- 第4場:重い課題
- 第5場:転換点・状況の再確認
- 第6場:最大の課題
第3幕:物語の終焉
- 第7場:どんでん返し・最後の課題
- 第8場:エピローグ
こう書くといかにも難しいようですが、仕組みを理解して型を覚えてしまえば、けっこう色々なものに応用できます。
というのも、これは『問題が発生してそれを解決するまでの流れを描く』という、かなり根本的な部分のテンプレートだからです。
この記事では三幕八場をベースに、より簡単に話を作れるようになるために、いくつかの質問を作りました。
それに答える内容を考えていくと、最後には物語のプロットが完成している。そんな作戦です。
どうぞコピペして、使ってみてください。
キャラクターや世界観は、あなたが書きたい内容のもので構いません。うまく当てはめてみて、自分だけのストーリーを考えてみましょう。
第1幕:問題提起
第一幕では『このお話はこういうものですよ』という事を読者に伝えるために、世界観や登場人物などの内容を語っていきます。
内容を語っていくと言っても、物語は既に始まっています。
できるだけ早急に、前置きを終了させて物語の本編に導く必要があります。
ここでやたらと詳しく舞台説明やら登場人物の説明やらを始めてしまうと、退屈になって読者が離れてしまうという事になりかねません。
説明は必要最低限にして、主人公の目標と問題を掲げ、話を動き出させましょう。
1場:物語の始まり
主人公の登場、もしくは物語の始まりです。
読者を惹き込むような、強烈な出だしを考えましょう。
初心者からすると、書きたい部分というのはわりと最後の方に偏る事が多いです。
そうすると、1場はなんとなく始まってしまいがちなのですが、小説を手にした時、誰もが最初に読む1場がつまらないものだと、それだけで読者のほとんどを逃してしまいます。
それではもったいないので、意識してユニークな始まりを想像してみましょう。
『チェックポイント』
- どんな始まり方でいくか?
- 主人公に、どんな登場のさせ方をするか?
- 主人公はどんな人物か?
- 主人公はどんな目的を持っているか?
- 主人公はどんな世界観の中で生きているか?
2場:主人公が目的を持つ
ここから物語が本格的に展開していきます。
導入が終わって次に重要なのは、物語の主人公が何らかの目的を持つという部分です。
『早急に物語を始めなければいけない』というのは、つまりここのシーンで早くも主人公が課題を発見して、それを解決するために動き始めるということです。
目的意識が強いほど強烈なシーンになり、読者の気を引く事ができます。
『チェックポイント』
- どういった背景で、何が起こるか?
- 誰かと出会うか?
- どうして主人公は目的を持つか?
- どんな目的を持つか?
第2幕:挑戦と挫折
ここが物語のメインパートです。
クライマックスに気を奪われて簡素化しがちですが、非常に重要です。ここが物語のメインパートです。
この『挑戦と挫折』のシーンが盛り上がらないと、読者にクライマックスを読んでもらえないからです。
言わばカレーで言う所の鶏肉を炒める工程くらい重要です。
しかし、多くの初心者はここを面白くするのに最も苦労する傾向にあります。
物語を発想するときに、始まりとクライマックスのシーンは大体面白いものを思い付いているけれど、その間のシーンは見逃している。そういったことが多いからです。
つながりの部分というのは前後の関係を意識しなければならないため、他と比べて考える事が多くなります。注意して作っていきましょう。
第3場:最初の課題
第3場は、主人公および周囲の人間が目的に向かって、第一歩を踏み出すシチュエーションです。
当然、行動しようとするということは、何らかの課題を持っているはずです。これは、第2場で登場している前提です。
比較的、この第3場で用意される課題というのは軽いものが多く、ストレスなく進行できるように注意して作っていきます。
物語が動き出す第一歩です。
『チェックポイント』
- 主人公は何をするか?
- 行動した結果、何が起こるか?
- どんな気持ちの変化が生まれるか?
- どうやって新たな課題を手に入れるか?
- 新たな課題は何か?
第4場:重い課題
第4場では、重い課題が登場します。
主人公達にとって、それなりにハードルが高く、深い挫折を味わう事もあります。
しかし、ここは一番重いハードルではないという所がポイントです。
物語はさらに進行し、深みにはまっていきます。
『チェックポイント』
- 新たな課題に対して、主人公は何をするか?
- 行動した結果、何が起こるか?
- どんな気持ちの変化が生まれるか?
- 今のままでは太刀打ちできない、高いハードルはあるか? あるならどんなものか?
第5場:転換点・状況の再確認
第4場~第5場までの間に、第6・7場に繋がる仕込みをしていきます。
このシーンでは、第4場のある程度負荷がかかる問題を解決した後で、小休止のシーンにします。
次のシーンに最大の課題があるので、それに対して準備をするつもりで。
『チェックポイント』
- 高いハードルに対して、主人公が何を考えるか?
- 何か出来事があって主人公の意識が変わるとすれば、それは何?
- どのようにして決意を固めるか?
第6場:最大の課題
一番盛り上がるシーンです。
決意を固めた主人公が最大の難関に立ち向かっていく様子は、どんなジャンルの物語であっても美しい。
クライマックスの第7場に繋がるシーンです。ここまで来ると、意識せずとも作り込んでいる方も多いのではないでしょうか。
なお、長編の場合は第三幕に続かずここで一旦切って、次の物語に備えるという使い方をします。
『チェックポイント』
- 第4場で登場した最大のハードルは何だったか?
- どんな出来事があって、最大の課題と実際に直面する?
- 主人公はどんな手段を持っているか?
- 手段を使った結果、どう問題が解決されるか?
- どう気持ちが変化するか?
第3幕:物語の終焉
ここで終わる場合は、エピローグに向けて最後のどんでん返しを仕込みます。
最大のハードルを乗り越えた次の瞬間! ……といった、緊迫感のあるシーンが続くイメージです。
第7場を乗り越える事によって、物語はめでたしめでたしとなるので、気を抜かずにいきましょう。
第7場:どんでん返し・最後の課題
第6場を切り抜けた先で立て続けに起こるという所がポイントです。
集中力の続く所なので、一気に読み終えられるくらいのテンポの良さが大事です。
ここまで実際の文章で進められると、わりと達成感があります。疾走している感じがあって、小説を書くのが楽しくなってきますよ。
『チェックポイント』
- 何が起こったか?
- 主人公達に待ち受ける最後の障害は何か?
- どういった手段で切り抜けるか?
第8場:エピローグ
物語の終わりです。
最後は気持ちよく追われるシチュエーションを用意しましょう。まあ、ハッピーエンドでない場合はこの限りではありませんが……。
なお、このシーンだけは『どんな状況で、何が起こるか』という質問を設けません。
エピローグでは、主人公が当初思い描いていた問題が解決した事を示し、爽やかに終わるものが多いです。
『チェックポイント』
- 切り抜けて、主人公達はどんな思いでいるか?
- どうやって物語を終えるか?
小説のプロットをテンプレートにするのは、有効な作戦の1つ
この三幕八場は慣れてくると、色々な物語の繋ぎ方ができるようになってきます。
実は、私が書いている小説のほとんどは三幕八場を利用したシーン展開になっています。
リンクを張っておきますので、もし良かったら読んでみてください。ここに書いてある事を読んでもし分からなかったとしても、サンプルを通して理解しやすくなるかもしれません。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880710454
三幕八場はやることがはっきりしているので発想さえできれば迷う事もなく、緩急があるので物語にテンポの良さを与える事ができます。
結果として『面白い』と、より多くの読者に思って頂きやすいです(経験談です)。
『簡単に』と言いつつ、覚えるまでは少しとっつきにくいかもしれませんが、覚えておくときっとあなたの小説を助けることになると信じています。
それでは、今回はこんなところで。
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