今の会社でずっと仕事を続けて良いのか悩んでる。
本当はベンチャー企業に行って、新規事業の立ち上げみたいな事をしてみたい。
でも、年齢がなあ……。
ベンチャー企業って、何歳までならOKなの?
とあるベンチャー企業の採用担当です。そんな疑問に答えます。
もちろん大前提として、会社の採用事情や希望する人材によって、採用年齢というものは簡単に上下しますし、『◯◯歳まで』なんてはっきりとした回答をすることはできません。
ですが年齢を理由に、『転職活動に踏み切って良いものか』と悩んでいる方が多いのも、また事実です。
ということで、これまでベンチャー企業で長いこと働いてきた身として、「このくらいの年齢で入ると良いのではないか」という、目安についてお話できればと考えています。
個人的な主観にはなってしまいますが、きちんと理由を添えてお話しますので、参考になれば幸いです。
それでは、さっそく本編に進んでまいりましょう。
Contents
スポンサーリンク
ぶっちゃけベンチャー企業に転職できるのは何歳までなのか【経験談】
正直、私が経験する限りではベンチャー企業に入社してくる方の年齢って本当にバラバラだったので、『何歳までならOK』というものではないなあ、と感じています。
自分達がやっている事業に精通するスキルだったからという事を理由に、40、50代の方が採用されたケースも経験していますし……。
結局、今何歳かよりも、今その会社にとって必要な人材かというのが大きいです。
特にさしあたり必要度・緊急度の高い人材でなければ、若ければ将来を期待して採用という事になるので、結果として『若い方が有利』となっているのではないでしょうか。
それも踏まえた上でお話すると、ベンチャー企業に挑戦して楽しくなってくるのは、20代後半~30台前半であろうというのが、私の意見です。
年齢制限については、『ない』という回答とさせてください。
でも、20代前半はあんまり良くないと思います。
これ、かなり一般論からはズレると認識しています。でも実際ベンチャー企業で働いていると、年齢ではないなと思うんですよね。
その理由についてお話できればと思います。
若いうちからベンチャー企業に入るケース
20台前半というと、新卒か、またはほぼ第二新卒のような形でベンチャー企業に参入する事になるかと思います。
これですね、けっこう敷居が高いなと。
何しろ私自身が20代前半での転職だったので、この辛さが骨身に染みる所なのですが。
20代前半でベンチャー企業に入るのがきついという話ですが、実はきついのは20代前半の時ではなく、30代に入ってからです。
その理由は、こんな感じです。
- 自分の持つスキルのほぼすべてが独学
- 独学で学んだ知識を後輩に教えていかなければならない
- やろうと思えばいくらでも仕事に手抜きができる
つまり自由です。フリーダムである代わり、誰にも教えて貰えません。
私は大企業経験がないので、大企業でどのくらい細かく教えてくれるのか詳しくは分からないのですが、知人の話を聞く限りでは、新卒で入社した当初から一級戦士として活躍する事はあまりないようです。
それが、ベンチャー企業はそもそも『先輩が人に教える』以前に『会社としての体制を確立する』という所からスタートになるので、これから挑戦する事については、知識を持っている人すらほとんど居ません。
上司に聞いても、「資料? うーん、まあパワーポイントかなんかで書いて? 初めて書く資料だから、俺もよく分からないし」状態なわけです。
時間が経つごとに苦しくなる『車輪の再発明』
まあ自分で勉強するのは良いとして、ここで一番問題になるのは、人数が少ないので『自分のどこに問題があるのか比較できない』という所なんですよ。
もちろん、独学で得た経験というのは着実に貯まっていきます。でも、それが他者、他社と比べてどのくらい優れているのかは、見るまで分からないですよね。
私も実際に、取引を通して知り合った大企業の方と話していく上で、「ああ、そんなこと教えるんだ」「これが最初から教えてもらえたらだいぶショートカットできるな」と思う事が沢山ありました。
つまり、ベンチャー企業に仕事がなんたるかを知らない状態から入ると何がキツいのかと言うと、色々なことが『車輪の再発明』になりがちという事なんです。
自分が時間をかけて調べた知識は確かに価値のあるものですが、よそでは5分で教えてもらえる内容かもしれません。
ことプログラミングにしたって、PHP? Webデザイン? バックエンド? スレッド制御? フレームワーク? jQuery? 何から何まで独学です。
たとえばの話ですが、つい最近Reactの存在を知ったとして。wikipediaで調べたら、えっ? 5年前? という事も、普通にあるわけです。
しかも、社内の誰も知らない。今の仕事に手一杯な人達は、そんな事を調べる余裕がまず無かったりするんですよね。
なんとなくベンチャー企業というと、超優秀な賢者達が集まって仕事をしているように思われがちです。
実際そういった方はベンチャー企業にいますが、大部分はそうではないんだという事を理解しておく必要があります。
ベンチャー企業で働いているのは、超人ではないんです。ごく普通の人なんですよ。
常に恐怖と戦わなくてはならないベンチャー企業
急成長するベンチャー企業、ベンチャーキャピタルから投資を受けるようなベンチャー企業であれば、優秀な人をどんどん入れて、あっという間に拡大していく作戦が取れます。
しかし、そうではないベンチャー企業ってすごく多いです。
資金の援助も中々受けられず、アピールできず、会社が潰れたら後ろ盾もなく、それでも自分の作戦を信じて、商品開発と販売に励む日々。
分かりませんが、こっちの方が多いんじゃないでしょうか。
新規事業というと華々しいイメージがありますが、それってつまり『まだ世の中に浸透していない商品・サービス』という事ですからね。
よほどプレゼン能力がなければ、投資家を納得させたり、あっという間にブランド化させて市場拡大したりってできないんですよ。
ベンチャー企業が成功するためには、下記2点の両方を抑えなければなりません。
- 売れるモノを作る技術
- 売れないモノを売る技術
これは断言しますが、売れるモノを作っただけでは売れません。
こう書くと一見矛盾するようですが、ベンチャー企業はまだ市場が無い所に商品を開発して顧客開拓をするというのが目標なので、こうなるんです。
潜在的なニーズというのは、表面化されていないからこそ、潜在的なニーズなんです。
『実は潜在的なニーズがあったんだ!』という気付きを誰かが与えてあげなければ、必要として貰えないんです。
でも、『売れないモノをあたかも売れるように』する秘伝のような営業スキルがあっても、商品が駄目なら結局売れません。
こんなジレンマと戦いながら、商品は中々良くならない、人は集まらない、資金がないから大々的な宣伝もできない、だから売れない、売れないから社員の士気も下がる。
こんなカオスを一身に受けて、それでも会社を成長させていく。こんな意識が必要になってきます。
これはこれで、楽しいんですけどね。
ベンチャー企業の転職に年齢制限がないと思う理由
さて、私は10年以上同じベンチャー企業で働いている訳なんですが、その間に採用担当として色々な方を採用しましたし、辞めていくのも見ました。
私は採用に関わっていませんが、自然と40~60代の方が会社に入って、溶け込んでいたりもします。
結論、『年齢制限があるかないか』ではなく、『年齢相応のポジションでやっていく事ができるか』だと考えています。
別に20代でもあっという間に会社を離れていく事はありますし、60代でも仕事が沢山あるという状況にはなるんですよ。
ただし、年齢相応に。ここがキーポイントではないかなと。
40歳以上でも転職してうまくやっていく方法
そこそこの年齢になってくると、もしベンチャー企業に転職したとしても、周囲はみんな若い子だという事がよく起こります。
だから、転職してうまくいく人というのは、総じて腰が低いです。
分け隔てなく他人と接する事ができ、年齢に関係なく人を尊敬することができます。
へりくだるわけではなく、対等な関係を作るのが上手なんです。
そして、何か1つ以上、『これは得意だ』という要素を持っていて、それを社員に教える事ができます。
と、こう書くと、「10年以上も仕事してりゃ、得意なことの1つや2つ」と思うかもしれません。
でも、そうではないんですよ。
- 得意なこと、秀でていることがある
- それを他人に教えられる
これでセットなんです。
つまり、『年齢相応』というのは、『教える技術』が必須だということです。
若い人に継承できない技術や経験を持っていても、あまり価値があるとはみなされないということなんです。
私が見てきた中で最もすごいと思う方は当時60代でしたが、自分の得意な経営の事を専門に扱っており、それ以外の事はすべて、低姿勢で若者に聞いていました。
「そんな事ができるなら、あなたのおかげで会社は安泰になるなあ」
「自分の事はいいので、お客様第一で考えてください」
と、絶妙に人の心を掴むのが上手で教えるのもうまく、社員の全員が彼を信頼していました。IT業界の会社なのに、ITの知識はほぼ皆無という状態で、ですよ。
そして、ITの知識が皆無にも関わらず、会社を成長させていきました。
人に教えるというと、ついつい上から目線になってしまう方がいます。これだと少し難しいです。
- 効率よく知識を与える
- もっとも無理なく相手の行動を促す
これを最優先だと考えた時、『上から目線』というのはとても邪魔をする事が分かります。
とは言っても、へりくだって馬鹿にされてしまっては仕方がありません。
やはり、『自分から尊敬する』ことで『相手にも尊敬される』という状態を引き出し、対等な立場として教えられる人は転職でも強いですし、受け入れられやすいです。
時が経つほど、知識もより経営側に
若手は基本的に、自ら手を動かして自分のスキルを高めていく事が目標とされます。
30代後半にもなると、自分ひとりの仕事ではなく、周囲と協調して仕事していく事が求められます。
40代後半になる頃には、チームリーダーの上に立って、組織全体を俯瞰して動かしていくスキルが求められます。
そして50代、60代に入ると、経営の根幹に関わり、事業を成長させていく立場に変わります。
まあ、うんと個人的な見解では、『歳を重ねるごとにポジションが変化していくというのもいかがなものか』とも思うのですが、ひとまず日本はこうなっている事が多いです。
より年齢が上がるほど、全体像を見ていく需要が出てくる訳なのですが、『全体を見る』『俯瞰して見る』というのは、会社の中にある程度居なければ対応できない事ですよね。
だから、年齢が上がるほど転職が難しくなる側面があるんだと、私は考えています。
なぜなら、たとえ高年齢であっても、経営・お金に知識がある人は、顧問として採用されることがあるからです。
会社で働く経験が長いほど、『会社とは何か』を求められるという事だと、私は解釈しています。
人に教えるのがうまく、突出した知識や経験を持っていて、どんな人相手にも無理にコントロールしよう、不自然に下手に出ようとする訳ではなく、対等に扱い、経営に関わる判断が下せる60代。
そんな人がいるなら、私が社長だったらぜひ採用したい。
ベンチャー企業の転職に、年齢制限はない
ということで、実体験から基づいて、『ベンチャー企業への転職に年齢制限はあるか』という問いに回答させて頂きました。
ほんとに、『若くなきゃ駄目だ』『35歳以下だ』という意見が多数出る一方で、35歳以上の方って色々なつてから入って来るんですよね。自社でも他社でも。
そういう方は大体位が高いポジションで転職されるのですが、やはり納得感次第なんだろうな、と。
だからこそ、どうせ同じサラリーマンをやるなら、自分が働いている会社の事を熟知して、必要とあらば会社を動かす事ができるだけの知識と経験を身につけていきたいものですよね。
私もそこを目指して、これからも精進してまいります。