「ベンチャーから大手に行くのは難しいって言うし……」
「大手からベンチャーに行くのは難しいって言うし……」
そんな話をリアルの場でもよく聞くのですが、ちょっと初心に立ち返ったお話をしたいな、と思います。
この記事では、『転職というのがそもそも難しい理由』に始まり、『難しい転職を実現させるために必要なこと』というテーマでお話をしていきます。
私自身、過去実際に就職で苦戦した経験があり。
今は、とあるベンチャー企業で10年以上、システムを開発しています。企業の採用担当も経験しています。
今、様々な理由で「転職したいな」「でも難しそうだな」と悩んでいる方の力になれればと思い、こんな記事を書いています。
特に、後半は実体験に基づいて、転職で負のループにはまらない方法を書いていきます。
「何度転職を試みても失敗してしまう」という方に読んで頂けると、少し良いことが言えるかもしれません。
それでは、さっそく本編に進みましょう。
Contents
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ベンチャーに限らず、そもそも転職は難しい理由
一部では『転職エージェントを使えば誰でも転職できる』といったような記述も見かけたのですが、転職は普通に難しいです。
どこかの会社に潜り込む事はできたとしても、そこで仕事に対する満足度が必ず上がるとは限らないからです。
これは、ベンチャーであろうがベンチャー気質のない大手であろうが、変わらないことです。
特に、今『転職がうまくできず苦戦している』という方は、あまりご自分を責めないで頂きたいのです。
このブログでも問題解決を意識している都合上、『転職を成立させるための方法』について語る事がありますが、ぶっちゃけ書かれている事を実践したくらいでは、うまく行かない事が多々あると考えています。
なぜなら、転職とは『自分に値段を付けてもらう』という行為だからです。
転職が難しい理由は『値段がつかないから』
しかし、この『値段をつけてもらう』というのは非常に曲者です。
何故なら、評価基準は会社によって様々であり、実に色々なポイントを評価対象にされる事があるからです。
- 年齢
- 性別
- 職歴
- 経験とスキル
- 職場までの距離
- 人柄
- 人生観
- その時の会社の状況 などなど……
ある会社では無価値だったものが、別の会社では価値を生む可能性だってあるわけです。
しかも、その時居合わせた人物の主観も混ざってきます。
これでは対策することができません。
中には企業の事を端から端まで調べ上げ、転職に望む方も居るとは思いますが、どうしても面接に来た人の人柄まで操作できるものではないです。
なので、『○○に相談すれば大丈夫』『○○業界は売り手市場』といった考えは、まず捨て去った方が賢明だと私は考えています。
いかに売り手市場であろうと、本当に必要とされているのは『価値を生む人間』であり、何が価値を生むかは会社によって違うからです。
個人の話をする時に、『全体的』や『平均的』といった事を基準にすると、うまくいかない事が多いように感じます。
転職のしやすさに、ベンチャーも大手もない
同様に、『ベンチャーから大手は転職しにくい』『大手からベンチャーは転職しやすい』といった事もないはずです。
もしくは、全体的な確率で見るとそうなるのかもしれませんが、これも同じで、だからといってこれから転職しようと考える個人に当てはまるものではないです。
『大手企業の方がブランド力が高い』というのは、仕事をする上では明らかに違います。これは事実ベースで私が体験した事であり、真実です。
でも、こと転職の場合に『大手企業の方が強い』とは言い切る事ができません。
なぜなら、転職した瞬間にブランドは剥奪される事が確定になるからです。
仮に『有名な○○会社の人だから』採用されたとして、それは自分の望む評価になっているでしょうか。それはそれで、きついはずです。
AppleやGoogleの社員がみんなシャーロック・ホームズやスパイダーマンという事はないのですから。
これは少し話が脱線してしまうのですが、私は数字が書かれていない「しやすい」「しにくい」といった言葉は、基本的には参考程度に受け止めた方が良いと考えています。
私のブログでも私の言葉を鵜呑みにせず、参考程度に受け止めて頂きたいと願っています。
確率において数字の無いものは、判断材料にならないからです。
ベンチャーから大手に転職できる可能性は29%。
大手からベンチャーに転職できる可能性は30%。だから、大手からベンチャーに行った方が転職しやすい。
こんな話だったら、もはや転職する立場からすると誤差のレベルですよね。
体験談は参考になると思うのですが、あくまで主観の範疇を出ないもので、自分に必ず当てはまるとは言い切れない側面があります。
転職は総じて難しい
というわけで、転職というのは基本的に難しいものだと認識しておいた方が、何かと得だと考えています。
うまく転職できる事はあるかもしれないのですが、時と場合と会社によって変わる以上、悲観的に捉えておいた方が有利です。
楽観的に捉える事自体は悪くないのですが、往々にして『そこまで一生懸命になって準備をしなくてもいいか。どうせ運試しだし』という事に繋がりがちです。
もちろん、「自分はどこにでも転職できる!」と強い自信を持つ事自体は、全く悪くはない事だと理解しています。
でも、「どこにでも転職できて当たり前なのだから」と変化していくと、少し意味合いが変わって来ます。
特に今の会社で人間関係的にうまく行かなかった時に、つい衝動的にそう思ってしまいがちですが、失敗に繋がる可能性が高くなってしまいます。
転職とは、自分を他社に売り込むことです。
何らかの原因で自分が追い詰められていると、無理なアプローチをしやすくなってしまいます。
それでも我々が転職するために必要なこと
実は私も過去そうだった時期があるのですが、就職・転職がうまく行かない時は、大体負のループにはまっています。
- 就職・転職で非採用になる
- 特に自分が優れている訳ではない事に気付く
- 価値を見い出せず、さらにうまくアピールできなくなる
- また非採用になる……
まず何よりも先に、今こういった考えに陥っているなら、一度離れて、自分の立場をじっくり見つめ直す必要があると、私は考えています。
私もかなりビビリな方なので、『自分をアピールする』というのはすごく難しい事だと考えていますが、戻れなければ進むしかありません。
ここでは、そんなメンタルの持ち方についてお伝えできればと思います。
ネガティブを捨てて、『ニュートラル』を目指そう
就職・転職で最も害になるのは、自分の中にある『自分は特別ではない』というネガティブ要素です。
誰にでもあるものだと思いますが、悲しいことに就職・転職のシチュエーションでは、『自分のダメな部分と真剣に向き合う人』よりも、『とにかく自分の良い部分をゴリ押しする人』の方が良く見える事が多いです。
話しているだけでこっちまで明るくなってしまうようなポジティブ思考の人は、それだけで採用の可能性がかなり高まります。
ただ、私はどちらかと言えば後ろ暗い性格なので、いきなり「ポジティブになれ!」と言われても、できない人の気持ちがとても良く分かります。
そこでおすすめしたいのは、『ニュートラルになる』という方法です。
自分はあくまで、1人の人間。それ以上でもそれ以下でもない。
そのように自分を俯瞰することで、自分が今できることとできない事がよく見えてくるようになり、客観的な視点で話をすることができるようになります。
これはかなりおすすめな方法で、相手に『論理思考能力が高い』と思わせる事に繋がります。
心の奥底にあるネガティブな部分って、背負って明るく見せても、絶対に悟られてしまうんですよ。
だからもういっそのこと、明るく見せない。冷静でいる。これは自分にとっても、緊張を克服する手段になります。
ポジティブな人間になるのが難しければ、ニュートラルでいましょう。
できることを冷静に話す
自分を振り返ると、つい『できないこと』ばかりが目についてしまうものです。
人は、リターンよりもリスクの方を重要視する傾向にあるからです。
明日手に入る千円の喜びより、明日失う千円の悲しみの方がショックが大きいんですよ。
だから、『ふぞろいカステラ』的なポジションを目指すのはどうでしょうか。
もちろん、問いかけられた時に隠すという事ではありません。
でも、自分という商材を転職市場に乗せるためには、アピールポイントがどうしても必要なんです。
ふぞろいカステラというのは、焼きムラや商品の凸凹などが商品としての評価に合格できず、棚に並ばなかった商品です。
でも味は変わらず、値段が安いという評価点があります。
自分に対してのイメージをこう捉えておくと、『できないこと』に向いていた意識が、『できること』に変わっていきます。
たとえば私は新卒採用時代、お金がなく、大学に行けなかった事から就職に苦戦しました。
健康でもなかったので、そのままでは採用される可能性ゼロとも言える状態でした。
でも、大学に行けなかった代わりに『自分で独学する事はずっと続けてきた』とアピールすることで、目に見えて相手の反応が変わりました。
健康でなかった代わりに、『どうすれば自分が社会で働けるようになるかを真剣に考えた』というエピソードは、わりと決め手に使っていました。
できることは、あるんです。
自分の考え方ひとつだと私が信じているのは、こういった部分にあります。
転職は難しい。でも、諦める日は来ない。
今でも、新しい環境で働く時はすごく緊張しますし、自分が相手に与えられる価値を必死で模索しようとします。
でも、最低限自分がアピールしたい事だけは言えるようになり、わりと今、様々な所から信頼を得られるようになりました。
会社というのは人の集まりなので、人と人に相性問題がある以上、100%どの会社にも就職できる、といった方法はありません。
転職は、難しいものです。
でも、活路を探す事さえ諦めなければ、意外と道は拓けます。
そう信じなければ、私は多分とっくに死んでいました。
だからきっと、大丈夫だと思うんですよ。
皆さんの就職・転職が成功することを願っています。