何事も、向き不向きというものはあります。
毎日の仕事が満足している人もそうでない人も、さらなる自分の成長のために、あるいは挑戦のために、ベンチャー企業への転職を考えることは少なくないと思います。
少なくともマンネリ化した仕事からは脱却できるので、意欲は湧いてきますよね。
でも、本当に楽しいんだろうか?
あるいは、ベンチャーでの仕事生活を本気で楽しめる人って、どんなタイプの人なんだろうか?
今回は、この点についてお話していきます。
私はベンチャー企業に10年以上いて、これまでベンチャーに向いている人・向いていない人を、それなりの人数観察する機会に恵まれました。
なるべくぶっちゃけ話にしていこうと考えていますので、もし良ければ先を読んでみてください。
それでは、本編に進みます。
Contents
スポンサーリンク
ベンチャーに転職して『楽しい』と思える人のタイプについて説明する
もし仕事をする上での性質を『攻撃型』か『防御型』かで区別したとしたら、ベンチャーに入って楽しいと思える人のタイプは基本的には、攻撃型です。
積極的に仕事へ取り組み、成果を出すことを楽しいと思える人。
基本的には攻撃型かどうかより、上記が楽しいと思えるならOKですが、結果としてこういったタイプに、攻撃型の人が多いという印象です。
「いや、仕事に取り組んで結果を出すなんて当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、この言葉の裏の意味は、『成果を出すためなら自分が失敗して責任を負うリスクを取れるか』という事です。
こうなると、少し考えが変わる方も居そうですね。
このことをベースに、ベンチャーを楽しいと思える人のタイプについて、3つのポイントから見ていきます。
ちなみに、攻撃型・防御型については、鈴木祐さんの『科学的な適職』という本に載っておりますので、もし興味があれば読んでみて頂ければなと。
1.リスクコントロールの概念がある人
これ、本当に重要なことだと考えているので、最初に書きました。
ベンチャー企業で働くというのは、完全ではないにせよ『起業する』という視点に近いものがあるので、『リスクコントロール』という考え方はとても重要です。
これがない場合、『理不尽なことをやらされている』感が強くなってしまい、ベンチャーを楽しめない傾向にあります。
リスクコントロールというのはつまり、『報酬を得るためには責任を負わなければならない』という考え方のことです。
人は何らかの決断をする以上、必ず何かを犠牲にしています。
人・時間・お金などの、自分に関わる資産です。
サラリーマンをやっていると、『時間を提供してお金を稼ぐものだ』という意識が根強く残っているので、イコール『時間さえ提供すればお金は稼げる』という勘違いをしがちです。
ここが違うんですよね。
人・時間・お金を賭けて、成功しなければそれを失う。これが、『リスクはつきもの』という考え方です。
つまり我々は、なるべく死なないところで死なないところで、自分に関わる何らかの資産を天秤にかけながら、成功を掴むためのサイコロを何度も振るという事をしています。
ここが意識の根底にある人であれば、ベンチャー企業で行う仕事は基本、何でも楽しめるでしょう。
逆に言えば、『楽しい事には参加したいけど、リスクは徹底的に負いたくない』というタイプの人は、ベンチャーに入っても挑戦できずに終わる可能性があります。
そういう意味で言うと、若干ギャンブラー気質な人種かもしれませんね。
2.自分にかかわるすべてを自責にできる人
2番目です。特にこれは、立場が上になるほど重要な要素です。
あなたは自分の人生について、本当に自分1人で責任を持って生きていると言えますか?
残念ながら私はこれ、ベンチャーに入ってからわりと長い間、持つことができていませんでした。
しかし数年して、『他責にしても何も問題は解決しない』と腹を括ってから、見える景色が変わってきたように思います。
自分にかかわるすべてを自責にする。これ、並大抵のことではないです。
たとえば、同じ組織の中で自分以外の誰かが失敗した時に、そのリスクを負いに行くのは自分です。
たとえば、とんでもない人が組織の中にいて、全くコミュニケーションが取れず苦労していたとしても、その責任を相手に求めず、文句も言わないということです。
100%これを実践するのは、実はけっこう困難なことです。
自分がリスクを負っている時は強いストレスがかかっているので、つい人のせいにしたくなりがちなんですよね。
でも、それを受け入れて、組織の中のすべてが自分の意思故に起こっているんだと自覚すると、自分がコントロールできる範囲が飛躍的に広がります。
自分以外の誰かが失敗しないように、どう先手を打って行けば良いのか?
とんでもなくコミュニケーションを取るのが難しい人を相手にしたとき、どう詰め寄っていけば良いのか?
私達はつい、何かあった時に相手の非を責めたくなってしまいますが、相手の言動や行動を変えることは難しく、変えられるのは自分だけです。
でも、『自分の行動』を徹底的にコントロールすると、実は相手を意のままに動かすというのは、わりと簡単にできることなんです。
もちろん、意のままに動かすと言っても、『自分だけに都合の良いように』なんて考えてはいけません。
Win-Winだからこそ、相手が動くんです。つまり私達に求められているのは、相手がその行動を取ることがWin-Winなんだと、どう説得するかにかかっているんですよ。
こう意識すると、ベンチャーのように大きな動きをする事が多い組織では、仕事が楽しく感じられる事が増えます。
3.短期的な収入よりスキルと経験を重視できる人
突然ですが、始めて就職先を検討した時、『給料』『残業時間』『休日』あたりの待遇から考えた方、いるでしょうか。
ちなみに私は、まさに上記のような要素で就職先を決め、撃沈しました。
ベンチャー企業は、既にビジネスが安定している企業と違い、給料は一回り少なくなる事が多いです。
これはベンチャーのステージ(状態)にもよるのですが、年収ベースで言うと600万円くらい貰えていれば、ベンチャーの中では多い方だという認識を持ちましょう。
これが何を示しているかというと、待遇と仕事内容を比較してしまう人は、ベンチャーには向かないということです。
そもそも軌道に乗っていないビジネスなんて、代表ですらほぼ無収入の所からスタートしているわけです。
世の中に認知されてビジネスが軌道に乗るまでには果てしない道のりがあり、それを踏破できる会社というのは、全体から見るとほんの一握りです。
本当は大企業に行っていれば年収1,000万クラスの人が、あえてベンチャー企業で400万で働いている。そんな環境がまかり通るのがベンチャーです。
だから、ベンチャーで働くことそのものに価値を見い出せなければ、途中で「なんでこんな事してるんだ?」という強い疑問に襲われ、そこから転職という流れになるかもしれません。
いや実際、優秀な人って別にどんな企業にでも行けるので、ある日辞めていくんですよね。
でも、優秀な人だって最初から優秀だった訳ではなくて、スキルと経験を身につけるために努力し、優秀になっていくのです。
そういう意味で言うと、ベンチャーというのはどんなポジションにもなれるので、わりと良い訓練になります。
私はIT系だったのですが、他の会社では中々できない、『インフラ(環境構築)からプログラム、営業、サポートまで』という、かなり広い分野を経験することができました。
今でも仕事は楽しいですし、転職する日が来ても、同じように仕事の範囲が広い会社を選ぶつもりです。
できるだけ楽しいベンチャーに転職するために
さて、3つのポイントからお話してきましたが、ある程度ベンチャーが楽しめる人の考え方について、共有できていれば嬉しいです。
共通して言えるのは、今現在だけではなくて、常に何手か先の未来のことを考えている、という所ですよね。
これがとても大事なのかなと。
ということでここからは、ベンチャーに転職して楽しさを感じるために必要なポイントを、最低限ここだけはという形でお伝えしていきます。
なるべく具体的に仕事内容がイメージできる仕事を選ぶ
経営理念や社長の人柄、社内のランクアップシステムなど、転職希望者にとって思わず目を奪われる楽しそうな仕組みって、実は沢山あります。
会社としては、なるべく優秀な人を採用したいです。
そこで、優秀な人を選別するために、どうしても多くの人が就職・転職したいと思う会社にしていかなければならないんですよね。
そもそも希望者が少なくては、選別もへったくれもありませんので。
仕事に対する情熱、明るい職場環境や人間関係のアピール、給与や福利厚生の仕組みなどなど……これらは重要なことで、もちろん転職を検討するにあたり、意識した方が良い項目ではあります。
でも、仕事内容はもっと大切です。
なるべく、自分の仕事内容が具体的にイメージできる会社を選びましょう。
それが今の自分にできるかできないかではなく、やりたい仕事かどうかです。
その大前提が崩れてしまうと、他の何が良くても、やはり満足できる会社にはならなくなってしまいます。
他の要素がとても良い会社であっても、仕事内容が自分に合わない場合って、やっぱりどうしても続けるのは辛くなってきてしまいます。
なので、外見や面接から仕事内容がよく分からない場合は、他の会社を選ぶというのも手です。
自分が望むステージの仕事を選ぶ
ベンチャー企業には、起業してからの段階というものがあります。これは一般的に、『ステージ』と呼ばれています。
ベンチャーのステージは、投資家がお金を投資するために、参考にする概念です。
ステージの詳細については以下の記事で詳しく解説していますので、良ければ参考にしてみてください。
参考ベンチャーのステージと初期段階から関わる事の重要性【転職者向け】
続きを見る
事前に確認できる事には限界があるかもしれませんが、初めにこういった知識を持っておくと、自分がどんなベンチャーに参加したいのかがより把握できるようになります。
実際に転職を検討する時は転職サイトや転職エージェントを利用することになるかもしれませんが、その時に自分の求める方向性を伝えられるという利点もあるので、覚えておいて頂ければと。
ベンチャーに転職することの楽しさ
私はベンチャーに転職して良かったと感じているのですが、ではどこが良かったかというと、『人数の少なさ』でした。
人数が多いと、どうしても自分と致命的に合わない人間というのは出てきてしまうものですし、社外はともかく社内で一緒に仕事をする事になると、わだかまりも生まれます。
そういった要素が無い分、だいぶ環境が良くなりましたし、結果としてスキルも身につきました。
ちょっと一般的な話からは遠ざかるかもしれませんが、こんな意見もあるということで。
仕事に何を求めるかは、人によって様々です。
自分が求める環境が手に入ると、生きるのが楽になりますね。