『ベンチャー企業はきつい』なんて言うけど、実際はどんな所がきついのかな?
入った人から本音の意見を聞いてみたいな。
逆に、一般的にはきついと言われているけど、実はそうでもない部分なんかもあったら教えてほしい。
社員10人未満のベンチャー企業(ほぼスタートアップの状態)の会社に入って、10年以上経過しました。とあるシステム開発の者です。
『ベンチャーはきつい』なんて言いますよね。噂によると激務だとか、激務だとか、激務などと言われます。
では、実際の所はどうなのでしょうか? 本当にきついのでしょうか?
このあたりを、実際に少人数ベンチャーに居る身として、お話できればと思います。
今就職・転職を考えていて、社員人数30人未満くらいの少人数ベンチャーに入りたいと考えている方に、かなり突っ込んだぶっちゃけ話をしていきますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
それでは、さっそく本編に進みましょう。
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【体験から話す】ベンチャーがきつい理由5選【転職の参考に】
ということで、ぐだぐだ話せば色々あるのですが、就職・転職の参考にならなければ仕方がありませんので、今回は厳選して5つ、お話したいと思います。
以下の内容ですね。
『ベンチャーがきついところ』
- 方針がコロコロ変わる
- 後から立場が不利な方に流れていく
- 社長があまりにも特殊な人
- 会社が成功しても自分が成功するとは限らない
- スペシャリストになれない
逆に言うと、世間で言われているブラック企業、つまり『土日も出社になる』や、『残業時間がヘビー』という問題については、取り上げないようにしていくつもりです。
確かにこれらはヘビーな部分なんですが、スタートアップ・ベンチャーの仕事って自分で選ぶことができるので、ストレスはそんなに無いんですよね。
肉体的にはすごくきついんですが、精神的にやられる事って、あんまりないんですよ。
このブログでも、他の記事では『残業は多い』なんて書いていたりしますが、私は自分の仕事を極力自動化する事によって定時で帰れるようになりましたし、工夫のし所は沢山あると思います。
そんな訳で、そういった肉体的な面ではなく、精神的にきつい部分についてご紹介していきます。
1.方針がコロコロ変わる
私がよく「きついな……」と思っていて、周囲のベンチャーにいる友人から話を聞いても「それはきついね……」とよく言ってしまう内容がこちらになります。
ベンチャーって、人数が少ないと会社における基本的なルールでさえも決まっていなかったりするので、社長や社員の発言がけっこう自由なんです。
そうすると、特に社長が気移りしやすいタイプだったりすると、方針が日々コロコロ変わっていくので、「さっき言ってた事と違う!」という事になりがちです。
これに振り回されるのは、わりときついです。
とは言っても、自分の預かり知らぬ所で変わる事については、特にストレスは感じないんですよ。
たとえば社長からの指示などで自分が取り組んでいて、ある日それが何にもならず終了、すっかり忘れて「何でそんな事してんの?」と言われたりすると、思わず「あなたが言ったんですけどね」と感じてしまいます。
でも仕方ないんです。議事録を取っている訳ではないですし、人は忘れますから。
上からのお達しが来るどころか、ベンチャーには『お上』すら居ませんので。
これはベンチャーにわりとありがちなことで、「決められた事はしっかりやる!」と思っている人ほど、ストレスが強いです。
幸い私は、「ああ、やめるのね」くらいのゆるい人間で、悪く言えばあまり緊張感がないので、それほどストレスはかからないのですが……同僚の中にはこめかみをブルブルさせて、怒る寸前の人もいました。
でも仕方ないんですよ。逆に言えば瞬間最大風速で仕事していかないと仕事が成り立たない事も多々あるので、出戻りはあります。
2.後から立場が不利な方に流れていく
これも『方針がコロコロ変わる』と少し関連してくる話なのですが、従業員の労働規則が、ある日不利になるというのはザラにあることです。
一番ありがちなのは給料で、年収が一時は高かったとしても、経営が不安定になりがちなベンチャーはある日業績が傾いて、収入減になってしまったり、ということがあります。
別にお金の面だけでなくても、ある日残業が多くなるとか、逆に「残業は悪いことだから、残業した奴はペナルティ」なんて話になったりとか。
ベンチャーに居る時は、一時の給料に左右されて生活を豊かにしないよう、気を付けたいものです。
従業員の労働環境って、ベンチャー企業では自分で改善していくようにしないと、どんどんきつくなるばかりです。
新しい仕事はどんどん降ってくるし、かといって人数がそれほど増えるかと言われたらそうではないし、人はどんどん辞めていくし、の三重苦なんですよね。
一部の華があるベンチャー、あるいはメガベンチャーなどはこの限りではないでしょうが、資金もなく人もいないスタートアップ・ベンチャーなんて、だいたい仕事の条件は悪化する一方です。
それをどこまで自分で改善して、労働環境が悪化しそうなら事前にさばいて負担を軽くし、会社の利益を確保しながらしぶとく生きていけるかが、ベンチャーでやっていけるかどうかの境目のような気がしています。
野に咲く花のように、踏み倒されても踏み倒されてもしぶとく生き続けることですね。
3.社長があまりにも特殊な人
ベンチャー企業の社長さんって、だいたいものすごく突き抜けた人です。
少なくとも、私が今まで出会った人はそうでした。
ものすごく欲深くて、『自分は成功する』と信じて疑わない人。
だいたいこの要素をベースに、『とにかく新しい事に手を出すのが得意』とか、『とにかく人と話して仕事を取ってくるのが得意』とか『とにかく新しいアイデアを出しまくる』とか、そういった突き抜けた特技を何かひとつ、持っています。
ここからが重要なんですが、大体能力値配分がえらくピーキーで、ポケモンで言ったら『マルマイン』や『ドサイドン』みたいな感じなので(偏った例えですみません)、できる事はあまりにも突き抜けてできるし、できない事は全くと言っていいほどできない。
だいたい最短距離をぶち抜く人なので、あんまり個人に配慮した物言いをしない。
こんな風になりがちです。
重要なのは、こういったタイプの……多くの場合は自信家の人が、自分のすぐ近くで仕事をしている、という事なんですよね。
これは私、実際にベンチャーに入ったことで感じているのですが、『突き抜けた人』と仕事をするのって、正直きついです。
価値観が全く共有できないからです。
でも、すごく貴重な人生経験だと思います。
4.会社が成功しても自分が成功するとは限らない
スタートアップ・ベンチャーで成功したら、その後は人生安泰、みたいな話が一部では出回っているようなのですが。
まったくそんな事はないです。
会社の成功って、あくまで会社の成功なので、個人のブランドは個人で育てないと、どうにもならないです。
そりゃあ上場する所まで行って、ストックオプションを貰うとか、役員になるとかすれば事情は違うかもしれませんが、そんな所まで成長できるのってほんの一握りですよ。
ましてうまく行かなければノーブランドの無名企業に入って、ただ時間を消費したという風に見えてしまいがちです。
会社が成功しても、自分が成功するとは限らない。
だからベンチャー企業に入るなら、あくまで『会社と自分』は切り離して考えて、どこに行ってもやっていけるような人間になるよう、実際にプランを立てて行動するのが重要です。
会社は、あなたを育ててくれませんし、会社が成功してもどれだけ見返りがあるかは分からない事が多いです。
見返りは、自分で作るしかないんですよ。
5.スペシャリストになれない
まあ、そもそも『スペシャリスト』というのは努力ができてセンスもある、わりと一部の人であろう事は置いておきます。
それを差し引いても、ベンチャー企業は仕事の範囲が広いので、スペシャリストを目指すのはやりにくいです。
特定の仕事だけをして成果をあげたいなら、専門的な技術を扱う会社に入るなどの工夫が必要ですね。
『ベンチャー企業に入ったら自分で仕事を作って時間に余裕を持ち、スペシャリストになるための勉強をする』と考えている方、居ますでしょうか。
私がこのタイプだったのですが、実際入ってみて、方針を切り替えました。
というのも、スペシャリストになれるかどうかって、個人の資質以上に『環境』と『タイミング』が重要になると思うんですよね。
プロの野球選手になると仮定して、野球の名門校とスポーツ愛好クラブ、どちらが可能性が高そうかと言ったら、やっぱり前者ですよね。
ベンチャーに入ると、会社でやっていない事はほぼ全て独学になります。会社にスペシャリストが居なかったら、やはり可能性はかなり低くなってしまいます。
なのでベンチャーに入るのであれば、やれる事を複数持って活躍する、ジェネラリスト路線の方がいいですね。
ベンチャー企業はきついのか?
ということで、『ベンチャーがきつい部分』についてお話していきました。
もちろん、これは私が実際にベンチャーで知り得た経験をもとにした意見なので、すべてのベンチャー企業がこうだという訳ではありませんし、会社によって違いがあるのも確かです。
これからベンチャー企業に挑戦してみたいと考えている方は、志望しているベンチャー企業で『こういった側面はあるのか?』『自分にとってきつい内容か?』を考えるようにしていくと、活用のし所があるのではないでしょうか。
表面的な事ではなく、かなり突っ込んで書いたので、役に立ったら嬉しいですね。
こんなカオスな側面を持っているベンチャー企業ですが、やはり『少人数で事業を黒字化する』という楽しさには勝てず。どうも私には、こういった環境が合っているようです。
こまけえ事は良いから、成果を出したいんだよ! と思う方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
現場からは以上です。