ベンチャー企業への就職を考えているんだけど、就職先で失敗すると大変だという話もよく聞くんだよね。
結論、どんなベンチャーを探したら良いんだろう。
と悩んでいる、20代の方(特に学生)向けに記事を書いていきます。
こんな記事を書きながらも、『ベンチャー企業』という括りではなく『会社』という括りで見た方が現実的だなあと思っていますが、そもそも会社の状態を見定めるのはポイントが分かっていないと難しいですよね。
そこで今回は、なんとなく会社をぼんやりと眺めて判断するのではなく、『最低限、ここは見ておくと得だよ』というポイントについてお話します。
これを書いている私は、ベンチャー企業に10年以上勤めています。5人程度の少人数で、赤字の会社を黒字化することに関わってきたので、要点は抑えているつもりです。
ここに書かれている事をすべて意識してくださいという事ではありませんが、これから就職先を選ぶという若者に向けて、少しでも考え方のヒントになれば幸いです。
Contents
スポンサーリンク
【就職・転職】ベンチャー企業の選び方ポイント5つ【定義が大切】
何についてもそうなんですが、物事を観察・調査して判断しようと考えた時、『定義』というのはめちゃくちゃ重要です。
この『物事の定義』のためだけに本を読んで勉強した方が良いと言えるくらいには重要です。
簡単な例を出すと、『このりんごが本当に蜜入りかどうか、判断してください』と言われたケースを想定してみます。
もし定義がなかったら、「蜜入りかな?」と、ぼんやりとりんごを眺めるくらいしか手段がありません。
でも、以下の場合ならどうでしょうか。
- 果皮が赤い
- お尻が広く、オレンジか黄色っぽい
この、たった2つの『定義』が加わっただけで、人はりんごの選び方にポイントを付けるようになります。
会社の選び方も、これにとてもよく似ています。
知っていれば想像できたことが、知らなかったがために想像できないことがあります。
それでは、さっそく本編に進みましょう。
ベンチャーの選び方Part.1 資本金
『資本金』という言葉は知っていても、社会人として働いていなければ、あまり馴染みのない言葉です。
資本金というのは、会社の運転資金のことで、株主から提供される資金です。
事業の元手になるものですが、ことベンチャー企業の場合は出資してくれる企業がない限りは、創業者が自己資本を投じた額になります。
基本的には、資本金は運転資金なので、会社が行っている事業の規模を表す目安です。
もちろん、資本金が少ない状態から大きな利益を出し、一躍有名になる会社だってあります。だから、必ずしも少ないから規模が小さいと言い切れない側面はあります。
でも、たとえばソフトウェア業の場合、資本金3億円以下、従業員300名以下なら中小企業です。
ここは頭に入れておきましょう。
ちなみに、資本金は後から増やす事もできます(運転資金に余裕を持たせて、新しい店舗を増やしたりなどですね)。
ベンチャーの選び方Part.2 営業利益・経常利益
私はこの情報が重要であることを、社会人になった後に知りました。
営業利益というのは、会社の本業から発生した利益のことです。売上総利益から、販売費・販管費を差し引いた金額のことです。
経常利益というのは、会社が行っている事業の全体から発生した利益のことです。つまり、本業以外も計算した利益です。
『経常』は、『平常ならば』という意味で、つまり会社としてのイレギュラーが起こらなければ本来得られる利益というのが、経常利益です。
この2つは、会社経営の状態が良いか悪いかを判断する指標として使われる事が多いです。
営業利益が赤字でも経常利益が黒字なら、本業はマイナスだけれど、会社経営全体で見ると持ちこたえているという事が分かります。
当期純利益が黒字でも経常利益が赤字なら、その期だけの特別な利益があったから黒字になっていて、会社経営で発生した利益としては赤字だった、という事が分かります。
これらはたとえて言うと、会社の健康バロメーターみたいなものです。
会社は基本的に、黒字の方が余裕があります。
経営状況が赤字だと、黒字化するために無理をしなければならず、その影響が様々な所に現れます。
とくにベンチャー企業の場合、スタートアップ当初は赤字からスタートすることが殆どなので、これが黒字化するということは会社経営を行うために必要な要素が揃っているという証にもなり、ある程度は安心できます(とは言っても赤字に転落する可能性もあるため、過信は禁物です)。
とても重要な事なので書いたのですが、ベンチャー企業はこれを調べるのが少し難しいです。
というのも、上場企業であれば、『有価証券報告書』という経営状況をまとめた資料を提出する義務がありますが、そうでない企業の決算報告は公開されていない事が多いからです。
帝国データバンク等を使う手段もありますが、法人限定だったりするんですよね……。
そこで少し調べてみたのですが、個人が企業情報を調べる手段として、@niftyビジネスというサイトで帝国データバンクの情報が、わりと安価で手に入るようです。
情報が古く使い物にならない場合もあるそうですが、帝国データバンクの情報は私も参考にすることが多く、信頼しています。
ベンチャーの選び方Part.3 事業内容
基本的には『自分が挑戦したいこと』でバッチリなのですが、なんとなく『何かに挑戦したい』といった状態で就職先を探しているのなら、少し意識が必要です。
事業内容は、以下3点に分けて考えられる事を覚えておきましょう。
- 商品・サービスを提供している事業
- 専門知識・コンサルティングを提供している事業
- 人材・労働力を提供している事業
一番上が最も余裕があります。一番下は激務になりがちですが、鍛えられるものは多いです。
このように分類してみると、自分がどのポジションに行きたいのか、ある程度見えてくるのではないかと思います。
特に、ベンチャー企業の中でも自社で商品・サービスを展開している事業は少なく、こういった要素で利益が出ている会社は安定しやすい傾向にあります。
もっと言うと、単発利益ではなくサブスクリプションになっている会社はさらに安定しやすいです。
もちろん他の事業でも安定するケースはありますが、時代の流れによって陳腐化する可能性なども考えると、現状であこのあたりが最も強いかな、というのが私の意見です。
ベンチャーの中でも安定を求めるのであれば、こういった要素を抑えている会社を探すと良いことがあるかもしれません。
ベンチャーの選び方Part.4 競合
どんな会社にも競合はいます。これはちゃんと調べておいた方が良いです。
何故かというと、『業界トップであるか否か』で、会社の戦い方が異なってくる事があるからです。
業界トップであれば、他の競合が出した企画をどんどん吸収して、ブランド力を高めていくような戦い方をします。
そうでなければ、業界トップはやらないような、特別なニーズのある場所に自社の商品・サービスを進化させていく事を考えなければなりません。
このうち、どちらの戦略で戦っていきたいかです。
調べていくと、「同じジャンルの商品を扱うなら、ここも受けてみたいな……」と思う時があります。でも調べなければ、それは分からないままですよね。
私は就職当時、いずれノーブランドから企業を起こしたいと考えていたので、業界トップに入るような企業は避けていました。
今思うと挑戦しておけば良かっただろうなとも思うのですが、これもひとつの選択肢です。
ベンチャーの選び方Part.5 社員人数
最後は社員人数です。これは規模が大きいほど、自分が当たるチームにランダム性が出てきます。
「この人と働きたい!」と思っても、社員人数が多い会社だと、それが叶わない事の方が多いです。
また、会社の面接を受けたとして、面接官が良い人だったとしても、その人と同じ場所で仕事ができるとは限りませんよね。
しかし、社員人数が少ないほど、こういった問題はなくなっていきます。
その反面、社員人数が少ないと分業がしにくいので、あれもこれもと作業を受ける事になるかもしれません。
これを良いと見るか悪いと見るかは個人の感想によるところですが、社員数10名以下という場合、会社というよりもほぼフリーランスグループで仕事をしているに近い状態になります。
このように、社員人数によって仕事の内容が見えてくる事がありますので、それも考慮に加えておくと、想定の幅が広がるのではないでしょうか。
勉強できる時間が長いベンチャーを選ぼう
選び方に関するいくつかのポイントを、なるべく個人の主観によらないよう気を付けてお話をしてきました。
最後に私からひとつおすすめしたいポイントがあります。それは、『勉強できる時間が長い会社を選ぼう』ということです。
日々の仕事に追われてしまうと、勉強する気もなくなってしまいます。これが、悪いことだらけです。
自分の技術・スキルは過去のものになり……。
知識が増えないので、新たな事に挑戦することはできず……。
歳を取るほどに、勉強している周囲との差は開いていくばかり……。
こうならないためにも、せめて自分の興味がある分野について、勉強する余力を残しておくべきだなと。
その上で仕事に励める環境があれば、個人にとっても会社にとっても、Win-Winの関係になるはずです。
そのためには、できるだけ定時で帰れる会社を選ぶとか、会社のプログラムでも勉強の機会がある場所を選ぶとかですね。
就職先検討の要素のひとつに加えて頂ければ幸いです。