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なぜ、ベンチャーはスピード感があるのか【経営の本質に迫る】

ジェニファー

ベンチャーはスピード感があるって言うよねー。
入った事がないからよく分からないんだけど、スピード感があるってどういうこと?
大企業とは具体的に何が違うの?




とあるベンチャー企業でシステム開発をやっています。一応、その道10年以上でそれなりの肩書きも持っています。


『ベンチャーはスピード感がある』なんて、よく言いますよね。

でもベンチャー企業に入った事がない人からすれば、一体何がスピード感があるのか、よくイメージできない方も多いと思います。

そこで、今回はベンチャー企業の実情を知りたいという方に向けて、『なぜベンチャーはスピード感があるのか』という事について説明していきます。


もし今、ベンチャー企業への転職を検討している方がいたら、なお読んでみて頂きたいです。

判断材料のひとつのなればと思います。

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なぜ、ベンチャーはスピード感があるのか【経営の本質に迫る】

さて、『経営の本質に迫る』なんて大仰なタイトルを付けてしまい恐縮なのですが、ここでひとつ、結論付けたいと思います。


それは、『会社経営で最も重いコストとは、コミュニケーションコストである!』ということです。

これが、今回の記事の本題に繋がっていきます。


かなり大袈裟に言いました。様々な意見があることは承知しています。

まあ最も重いかどうかは会社によるとして、それでもこう言いたくなるくらい、『コミュニケーションコスト』というのは無視できないコストです。

しかもなお悪いのは、『会社にいる一定数の人は、コミュニケーションがコストになっているという現実に気付いていない』という所です。

結論、コミュニケーションコストは人が増える限り、際限なく増えていきます。減らす方法はあるにせよ、なくす事はできません。


そして、ベンチャー企業は社員人数が少なくなりがちだからこそ、コミュニケーションにコストがかからず、結果として『スピード感がある』と言われるのです。

ここには2つの要因があります。

1.ベンチャー企業は社員数が少ない

さて、社員人数の多い会社にいる方からしてみれば、何かひとつの判断を下す時の流れというものを、ご存知だと思います。

会社というのは、基本的には縦社会です。どんな判断をするにも上司の了承が必要になります。

新しい企画を出したら提案。何かの仕事を終えたら報告。どこかで問題が起きたら相談。

たくさん居る人達の状況すべてを1人ひとり聞いて回る訳には行かないですから、どうしても『上司が部下の状況を取りまとめ、上の上司に報告する』という流れになりがちです。


これが冒頭で言うところの、『コミュニケーションコスト』です。


これだと、スピードは出ようがありません。何しろ、最終判断を下すのはピラミッド型組織の最も上にいる人なのです。

ひとつの判断を下すまでに、状況報告が3、4回ある事だって日常のことです。


では、ベンチャーの場合はどうなるでしょうか。答えは以下です。

「今度から、うちの会社では○○にしようと思うんだけど、賛成の人ー?」

「はーい!」

「以上!」


……と、まあさすがにここまでフランクではありませんが、流れはこのようなものです。

関係者を集めて、異議を確認して終了。人が集まるのには時間がかかっても、決めるのはほぼ一瞬です。


社員数が少ないと、コミュニケーションの回数が少なくなるので、スピードは上がります。

2.ベンチャー企業はスター型

前項でも少しお話しましたが、人数の多い企業というのはどうしても、ピラミッド型の組織になります。

1人が仕事を管理できる人数なんて、せいぜい10人、多くても20人程度が限度です。

そりゃあ内容にもよりますが、「では、あなたの部下を1,000名付けて横に並べますから、並列に管理してください」と言われたら、無理というものです。


そこで、10人のチームに1人のリーダーを作り、そのリーダーが残りの9人の行動を管理して、上司に報告する。

そのリーダーが10人集まっている中に1人のトップリーダーを作り、さらに上の上司に報告する。

これができれば、たった1人でも100人の人間が管理できている事になります。

こういった『大人数が管理できる』という側面が、ピラミッド型組織の利点です。

人数の多い組織では同じ仕事をやる人も複数名になりますから、それを束ねて小さなチームを作るんです。


ではベンチャー企業はどうかというと、ベンチャー企業の多くは『スター型』とも言うべき組織です。

何しろ、人がいません。

人がいなければ組織する必要がありませんので、『○○の仕事をやっている人』というのは1人になる事もしばしばです。


そうすると、何かの仕事を達成する時に、複数の人に聞く必要がなくなってきます。

人数が少ないので大きな仕事を達成するのが難しいかわり、コミュニケーションコストで見ると最小限で済むわけです。

ベンチャーのスピード感に付いていく仕事術

さて、ベンチャーがなぜスピード感があるかという問いについては、これで答えられたかと思います。

ここからは、より『ベンチャーで働いてみたい!』と思う方に向けて、『ベンチャーのスピード感についていく仕事術』というテーマで書いていきます。

といっても、難しい事は必要ありません。よりスピードを高めるために、最低限必要なことは3つです。

  1. 中間報告をする
  2. 会議・電話・メール・Slackを適切に使い分ける
  3. 2秒で答えられない問いかけにはその場で答えない


もちろん、これ以外にもあると思う方も多いかと思います。

しかし、最低限これさえ抑えておけば、もう「お前は仕事が遅くて使い物にならない!」とは言われないはずです。

それでは、詳しく見ていきましょう。

1.中間報告をする

これを読んだ方の中には、「えっ? 終わってもいないのに報告することが、どうしてスピード感のある仕事に繋がるの?」と思った人も居るのではないかと思います。


しかし、『中間報告』、侮ってはいけません。

ベンチャー企業のような体制で仕事をする時には、急いで仕事を終わらせなければいけない都合上、どうしても指示が雑になってしまう事があります。

これは上司が無能な訳ではなくて、上司も忙しいので配慮する暇がないのです。人間ですから、こういう事は絶対にあります。

まあ忙しい訳ではなくても、ちゃんと指示をしたはずが伝わっておらず、双方に誤解が生まれている事も仕事の中では多いでしょう。


こうした誤解を、最低限のロスで済ませてくれるのが中間報告なんです。

もしも仕事が終わるまで何の報告もしなかったら、上司はその仕事がどういう状況になっているのか、はたまた着手したのかさえ分かりません。

終わってみてから『実はこうだった』という問題を発生させないためにも、コミュニケーションコストを割いて中間報告を行う必要があるのです。


まだ完全には終わっていなくても、結果がある程度見えた段階で一度、報告をしましょう。

その方が、多くの場合は喜ばれます。

2.会議・電話・メール・Slackを適切に使い分ける

私の会社でも、これがうまくできずに苦戦している方が多くいます。


まず会議です。会議は議題を解決するために顔を突き合わせて話すというものですから、最もコミュニケーションコストが高いです。

これは、実際に意見を出し合って解決しなければならない重要な問題、判断が必要な時に使いましょう。

最悪なのは、『会議のアジェンダすらない状態で、なんとなく会議を始めてしまう』ということです。

自分の時間を使い、相手の時間も奪うわりに、生産性がありません。最凶の時間効率です。


次に電話です。電話は、特に相手から情報を得たい時、緊急度が高い場合に使います。

Slackでも良いだろうと思う方もおり、ここが意見の分かれる所だと認識していますが、Slackは『相手が見る』というアクションが必要な分、電話の方が早い事があります。

そんなSlackは、『緊急度はそこまで高くないけれど、相手に質問しなければいけない内容』を送る時に使います。

ただし、基本的には社内で使うツールなので、外部の相手とやり取りをする場合はメールを使いましょう。

最後にメールですが、これは『相手に報告をする時に使う』というもので、相手のアクションに時間を求めない分、共有・周知など、最も緊急度の低い所で使います。

逆に言えば、緊急度が高くない場合はメールで十分、むしろ記録が残るので電話よりもメールの方が良いという状況は頻繁に訪れるということです。


これらを適切に使えないと、『報告をするためだけに会議を開き、相手の時間を奪う』といった事になりがちです。

人数が多ければ必要性も出てきますが、相手が1人の場合は時間を無駄に奪う事になってしまいます。

3.2秒で答えられない問いかけにはその場で答えない

最後は、『2秒で答えられない問いかけにはその場で答えない』ということです。

これは、むしろ親切な人がやってしまいがちな事です。

もちろん、見解を問いかけられている場合は、少し考えて答えた方が良い事があります。

ケース・バイ・ケースです。必ず全ての事に2秒で回答してくださいとは言いません。

しかし、やってしまいがちな悪い例は、『自分に情報がないにも関わらず、なんとか答えようとして間延びしてしまう』という事です。


よくありますよね。聞かれて、「うーん……」となって、沈黙してあれこれ調べた結果、「確認して、後で連絡します」ということが。

私もお互いが急いでいないシチュエーションではついついやってしまう事もありますが、分かっているのに相手の時間を奪うのは止めておきましょう。

無駄にコストがかかるだけではなく、相手をイライラさせてしまいます。


YesかNo、またはそれに近い範囲で答えられる単純な質問の場合、2秒以上考えても答えられない時は10秒考えても答えられない事が多いです。

この場合はすぐに引き下がって、『確認し、後ほどご連絡させて頂きます』と答えるようにしましょう。

これは相手のコミュニケーションコストを最小限にするだけでなく、『仕事ができる人』という印象を与えるのにも貢献してくれます。

ベンチャーにいなくても、スピード感のある仕事を心がけよう

最後にお話したいのは、『ベンチャーでなくてもスピード感は意識しよう』ということです。

人数の多い会社、あるいは大企業というのは、人数が多いからコミュニケーションコストがかかるのであって、決して怠けている訳ではありません。

むしろ、コミュニケーションコストがかかりがちだからこそ、スピード感のある仕事が大切です。


私の尊敬している、ある会社の営業の方は、資料を作って共有するのがとにかく早いです。

言葉で伝えるよりも資料を書いた方が早い、もしくは証拠があった方が良いと判断した瞬間、場所に関わらずすぐに資料を作り始めています。

そこに、『資料を作るのが面倒』という発想は1ミリもありません。

何度も資料を書くので、内容も綺麗でとても見やすいです。

私もそれを見習って、資料を書く事を心がけています。


なるべくなら、最善の方法で無理なく人と仕事をしていきたいものですね。

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