ベンチャー企業……一度やってみたいとは思うけど、すぐに倒産することもあるみたいだし、ちょっと怖いな……。
転職してうまくいく人、うまくいかない人、居ると思う。
どういう人がうまくいくんだろう。
そんな悩みに答えていくつもりで。
ベンチャー企業というのは、新しい企画や商品がどんどん出現し、自らもその企画に参加したり、あるいは企画を立てたりする会社です。
そのほとんどはうまくいかない事が多い訳ですが、なんとか新たなサービスを軌道に乗せる事ができると、爆発的に成長します。
特に、安定しているけど退屈だなと思う仕事に勤めていると、そんな環境がとても魅力的に見える事があるようです。
ベンチャー企業歴10年以上です。「入社した時は純従業員数が4人だった」なんて話すと、「それどんな環境?」とよく聞かれます。
ということで今回は、『ベンチャー企業に入って、こんな所は成功したよな』という、実際の生の声をお伝えできればと思い、記事を書いていきます。
なお良い点と悪い点は表裏一体だと考えているため、「ベンチャー企業すごく良いから転職しようぜ!」というお話にはできませんので、その点はご了承ください。
Contents
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ベンチャー企業に転職して、成功したなと思う所を語る
当時、私は本当に名のないベンチャー企業に転職した訳なのですが。
今の会社で成功したな、良かったなと思った部分は大きく以下の3点に集約されます。
- 『本当に信頼できる人間関係』が構築された
- どんな時でも諦めない無敵の覚悟を手に入れる事ができた
- お金を稼ぐリアルを体験することができた
逆に言うと、10年以上働いてきた割にこれくらいしか無い、とも言えるのかもしれません。
でも、これが大きいです。真の意味で、『成功する人』のスタートラインに立つための部分だと思っています。
収入で言うと大企業も含めて、同期の誰よりも高くなっています。世に居る一部のエリート達には及びませんが、ひとまず生活で困ることはないです。
『ブランドがなくても人が集まる』というのは、人生において相当な強みだと感じます。
1.『本当に信頼できる人間関係』が構築された
少ない人数でどうしても利益を出さなければならないという状態に陥った時、『本当の意味での、その人のスタンス』というのが見えてきます。
それは表面からは分からない部分で、ここを普段から意識して観察するようになったのは、ベンチャー企業ならではの成功したポイントです。
たとえば、あなたが何か企画をやろうとしたとします。
そんな時、参加する多くの人は「この人に付いていけば何か良いことがあるかもしれない」と思っています。
参加したので、どんな企画でも仕事が割り振られる訳なのですが、自分の所に仕事が回ってくると、人は「この人と一緒にいると、自分だけが大変な仕事を振られる」と思います。
もしその企画が成功すれば、「やっぱりこの人に付いて行って正解だったな」と思います。
もしその企画が失敗すると、「最初から何かおかしいと思っていた。こいつの話は二度と聞かないようにしよう」と思います。
と、このように、意外にも人間はシンプルにできています。
もちろん、『人っていうのは意外とバカ』という意味ではありません。これは当たり前の事なんです。
誰もが『自分の利益』のために動いているのであり、どんな人であっても、要所要所の局面で取る行動というのは、自分のために行われるというお話なんです。
それはたとえ家族であっても、友人であっても同じです。
基本、人は『他者の痛みに鈍感』で、『自分の痛みに敏感』です。
だから、本当に信頼できる仲間というのは、自分が痛みを感じる局面に陥った時、『それをどこまで当事者としての範疇で処理できるか』、その範囲がとても広い人の事を言います。
つまり『自分の利益』の範囲を広くする、ということです。
誰かが失敗した時、全社員の問題として立ち向かうか? 逃げるか?
パートナーが顧客からクレームを受けた時、代わりに出ていって謝るか? 他人のフリをするか?
もし、誰にも解決できない問題が発生したら誰が責任を取るのか? 自分か? 社長か?
自分にとって信頼できる人間かどうかを判断するのはたったこれだけで良く、たとえそれ以外の局面で、『俺はお前を信頼している』とどれだけ口で言われたとしても、本気にしてはいけません。
世の中には、相手の信頼を逆手に取って、自分の都合の良いように利用したいだけの人というのがいます。
しかもこれは、かなり多いです。しかもこれは、多くの人が無意識に行っています。
「信頼しているから私がピンチの時は助けてね。でも、あなたがピンチの時はあなたで処理してね」と、自然に行動している人が非常に多いんです。
これを良い意味で逆手に取ることが、まず相手から信頼される方法です。
つまり、積極的に相手のピンチを拾っていく。
そうすると、『何かあった時に、この人は自分の身を切ってでも助けてくれた』という結果が残ります。
自分がピンチの時に、『本当に信頼できる人』の範囲がとても広がるんです。
私はこれを愚直に実践することで、ルールのないベンチャー企業でも効率的に助け合う環境を作ることができました。
2.どんな時でも諦めない無敵の覚悟を手に入れる事ができた
これですね。この記事を書くようになったきっかけでもあるのですが。
ベンチャー企業にいると、どんな年代であっても、どうにもならない失敗をする事があります。
たとえば製品ひとつ取っても、社内に十数人しか居ない状況だと、評価ができるのはせいぜい数人だったりするわけです。
これでゴーサインが出たものが、実際に使われて100%問題がないかと言うと、まあそんなことはありません。
未知の問題に遭遇することも多々あります。
全く問題がないと思われた新商品で、なぜか機器同士の相性が悪くてまともに使えない。なんで? 評価の時は何も問題なかったのに……。
あるいは、原因不明のバグがOSレベルにまで及ぶとか、多重並列処理のどこかに問題が出て、発注元が海外で身動きが取れなくなるとか。
こういった話をすると、「そんなもの、ちゃんと設計しなかったからじゃないか」と思う方が一定数います。
でも、フルスタックエンジニア(機器選定からシステム開発までなんでも行う人)って、社員が十数人しか居なかったら1~2人です。
完璧なシステムがゼロから半年なんかで作れたらどうにかなるかもしれませんが、業務システムなどは、シンプルでなければ1年あっても難しいという事が、よく起こります。
その人がカバーできない領域が出現した瞬間、学習する所から始める事になってしまうわけです。
普通に作ると1年かかってしまうけど、1年暇したらベンチャー企業は死にます。なので、作りを雑にしてショートカットするとか。そして、後でやっぱりそこは問題になる。
そんなギリギリのラインで戦いながら、活路を探し続ける事になるわけです。
まあこんなにシビアな環境だったのは、当時倒産寸前の会社に入ったからかもしれませんが。でも、それで得たものは大きかったです。
「あー、あの時の方が厳しかったしな……」って、自然と考えてしまうんですよね。
どうにもならない致命的なバグがお客様の目の前で起こって、バグを起こした当人からは「全然わかんない」なんて言って放置され、たった1人で顧客のクレーム対応に追われながら、30分でバグの原因を特定して直すとか。
誰に聞いても原因の分からない、何年も前のプログラムに問題が出て、携帯電話の電波も一部しか入らないような場所で、1日に数本しか来ない最終バスよりも前にバグの原因を特定して直すとか。
もちろん、頼れる人はいません。
でも、本当に本気で必死になっていると、どこかで頭が覚醒するんですよ。
本当に追い詰められないとそこまで行かないんですが、なんだか急速に頭が働くタイミングと言うのでしょうか、そういう火事場のなんとかみたいな力が働くんですよね。
それを経験すると、なんだか何でもできそうな気がしてきます。
まだまだ、世の中捨てたもんじゃないです。
3.お金を稼ぐリアルを体験することができた
これは1と2にも通じる所があるのですが、『お金を稼ぐリアル』ってあると思うんです。
私は、働いて労働してお金を稼ぐというのは、ある意味でリアルではないと考えています。
なぜなら、働いた時間だけ確実にお金が貰えるから。
本当のお金稼ぎ――『経営者』や『投資家』のお金稼ぎというのは、はるかに深刻です。
日和ってなどいられません。お金を稼がなければ、明日には破産することになるかもしれない。生活が立ち行かなくなるかもしれない。
でも、明日1円が稼げるかどうかは分からない。去年は3億あった年商が、今年は1,000万円かもしれない。
そして、一度経営者や投資家になってしまったら、もう一度労働者に戻る事はきっと無理でしょう。
経営者と労働者では、考えている事が全く違うからです。
そして、資本主義の最も残酷なルールが立ちはだかります。
それは、『お金を持っていれば持っているほど、お金を稼ぐのが楽』だという、ある意味矛盾した現実です。
お金がない人はお金が稼げない。
お金がある人って、実はそこまで多くのお金は必要なかったりもするわけです。でも、そういう人達はお金を稼ぐのは楽です。
1,000万の余剰金があれば、株のポートフォリオを組むことも楽でしょう。
知名度がない人が100円稼ぐのは非常に難しく、知名度のある人が100万円を稼ぐのは簡単だったりするわけです。
お金がない人は100%、誰もがお金を稼ぎたいと思っています。でも、こういった人達ほど、お金を稼ぐのはシビアです。
生活費の月15~20万が稼げなければ、キャリアアップで転職することも難しい。
生まれた時からお金がない我々に許された唯一の道は、『労働者』として資金を貯め、それを勉強に使い『専門家』にシフトチェンジし、より多くのお金を貯金して会社を起こし『経営者』になり、稼いだお金で『投資家』になる。
ほぼ、このルートしかないわけです。
でも、経営の勉強は学校では教えてくれません。
ベンチャー企業は、ここの所のリアルを学ぶことができます。
つまり、『経営者』としてリスクを背負ってお金を稼ぐ、その一連の流れが見えてくるし、実際に体験することもできるわけです。
人数が少ない、社長の顔が毎日見られる会社でしか体験できないことです。
これは大きいですよ。労働者としてリスクを取らずして、経営者の思考を学べる。ずるい話ではありませんか。
ベンチャー企業に転職して成功できる人
ということで、私の体験談をもとにした、ベンチャー企業転職の成功例をお話しました。
私はこういった、ひりつくような現場で戦う緊張感が肌に合っているようです。
一生を通して何かに挑戦していきたいと思っていますし、そこで発生した損失はすべて被っていくつもりです。
もちろんそれは、どうでもいい損失を被るという話ではなく。
リターンのある、取るべきリスクだけを取り、被るべき損失を計画的に被り、それ以外は徹底的に排除するということです。
こういった『リスク・リターン』の考え方ができる方なら、ベンチャー企業は合っているのだろうなあと感じます。
逆に、「日々安定した給料が貰えるのなら、なんだってやる」という方はベンチャー企業には向きません。
それは、『リスクを取らない範囲でなら何でも貢献する』と言っているのと同じですから。
リスクを取らなければ、ベンチャー企業ではリターンを得られないんですよね。
という私なりの意見でしたが、これは同じベンチャー企業でも、かなり人によって感想が変わってくる所かと思います。色々な方の意見を、私も聞いてみたい。
この記事を読むことで、少しでもベンチャー企業のリアルが伝わっていれば嬉しいです。